PCTニュースレター 01/2020: 実務アドバイス
注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。
代理人が選任されず、出願人が一人以上いる場合における署名、また共通の代表者の選任
Q: 当方は他の出願人と共に国際出願を提出する予定です。経済的な理由で、現在のところ代理人のサービスを利用することは考えておらず、出願の提出に必要なすべての手続は自分たちで行うことを希望しています。これは可能でしょうか?もし可能であるならば、出願に関するすべての書類に私たち両者が署名する必要があるのでしょうか?または私たちの一人が他の出願人の代わりに署名することは可能なのでしょうか?
A: 多くの場合、受理官庁は代理人の選任を要求しませんが、出願人が国際出願が提出される国の居住者ではない場合にのみ、代理人の選任を求めます。しかしながら、官庁のいくつかはすべての場合において代理人の選任を要求することがあるため、この点は出願前にご確認ください。当情報が国際事務局に提供されている場合には、代理人の選任に関する各受理官庁の要件は、PCT 出願人の手引(/pct/ja/guide/index.html) の付属書 C (関連する各官庁) の末尾あたりに記載されています。ePCT を利用して出願を作成する場合で、選択した受理官庁は代理人の選任を要求しているが、代理人がまだ追加されていないときには、ePCT 出願ソフトウェアから確認のメッセージが送信されます。
今月の実務アドバイスでは、あなたが国際出願を提出予定である管轄受理官庁では、代理人の選任は不要であるものと仮定します。代理人の選任なく、受理官庁に対して出願することが許容されているとしても、特許出願、特に PCT 出願の提出、また特許の請求の範囲の準備に経験のある弁理士の知見や専門知識から利益を受けることは、非常に賢明であるでしょう。権利喪失の可能性を回避するためにも、代理人から支援を求めることを強くお勧めします。ePCT のような電子出願システムを利用して国際出願を提出したり管理する場合の救済措置は多くありますが、PCT の手続は経験のないユーザにとってはかなり複雑になり得ます。国際出願日の付与後は、新しい事項の追加のような、出願への特定の修正はできない点を念頭に置いておくべきです。これは出願時に、出願があなたの発明を適切に開示するために必要な情報をすべて含んでいるよう、確実にすることが必要なことを意味します。また弁理士は発明の特異性を考慮して、あなたに戦略的なアドバイスも提供することができるでしょう。
さらに、関心のある国における国内段階移行に関して、多くの指定 (または選択) 官庁は、いずれの場合でも、関連する国において業として手続をとる代理人の選任を要求している点にご留意ください。また、いずれにせよ、国内段階の手続は適用する国内法令の十分な知識が必要となります。代理人の選任に関する国内段階要件の詳細は、PCT 出願人の手引の国内編 (概要) から、保護を求める各国に関する情報をご参照ください。
国際段階において代理人の選任なく出願を進める決定をした場合には、(共通の代表者として行動する者は PCT 締約国の国民であり、および/または居住者であることを条件として) あなたもしくは共同出願人が共通の代表者として行動することができ、国際段階の期間中は他の出願人の代わりにすべての必要な手続を行うことができます。共通の代表者は、望ましくは願書様式の第 IV 欄に記載されるか、または ePCT 出願を利用して電子的に出願する場合には、"Agent/Common representative/Address for correspondence (代理人/共通の代表者/通知のためのあて名)" を追加するボタンをクリックしてから、関連する情報を入力してください。願書様式に代理人または共通の代表者の記載がない場合には、二者のうちの一者が共通の代表者とみなされることにご留意ください。PCT 規則 90.2(b) に従い、共通の代表者と "みなされる" のは、PCT 規則 19.1 に基づき、選択された受理官庁に国際出願をする資格を有する出願人のうち願書に最初に氏名が記載された出願人となります。
あなたが共通の代表者として行動する場合には、他の出願人は以下を行うことで、あなたを共通の代表者として選任することができます。
- 共通の代表者としてあなたの氏名が明確に記載されている願書に署名すること (またはあなたが受理官庁に国際出願をする資格を有していることを前提として、あなたが願書様式に最初に氏名が記載された出願人であること)、または
- あなたを共通の代表者として選任する、個別のもしくは包括委任状 (これらの様式はwww.wipo.int/pct/en/forms/pa/index.htm からご利用可能) に署名し受理官庁に提出すること
正式に選任された共通の代表者は、("みなされた" 共通の代表者とは対照的に、)共同出願人の代わりに国際出願に関する全ての行為を実行することができます。その行為には、PCT 規則 92 の 2 に基づく変更の要請の提出、PCT 第 19 条に基づく請求の範囲の補正書、国際予備審査請求の提出、ならびに国際出願、指定、優先権主張、国際予備審査請求または選択の取下げを含みます。あなたが願書に署名し他の出願人は署名していない場合に、あなたを共通の代表者として選任する委任状が他の出願人により提出されていなくても、(願書にあなたが共通の代表者として記載されているか、または共通の代表者として "みなされている"いずれの場合も、)願書様式の署名の欠如は、欠陥とはみなされません。これは、PCT 規則 26.2 の 2 が、国際出願が少なくとも一人の出願人により署名されているときは十分であると規定しているためです。共通の代表者としてみなされるあなたが国際出願に関して行う多くの手続は、出願人両者による行為として効力を有します。しかしながら、共同出願人の署名がなければ、あなたは、国際出願、指定、優先権主張、国際予備審査請求または選択の取下げを行う権限はありません (PCT 規則 90 の 2.5)。これは通告が、他の出願人を代理する正式に選任された代理人が署名するか、もしくは正式に選任された共通の代表者またはその代理人により署名されていない限り、取下げの通告にはすべての出願人の署名を必要とするためです。
国際出願の提出前には、国際出願の提出、保護を希望するいくつかの国への国内段階移行、また特許権が付与された場合の特許の管理、これらすべてに係る費用を十分に心得ておくべきです。これらの費用は、PCT 出願人の手引の個々の附属書に掲載されています。
共通の代表者の詳細は、PCT 出願人の手引-国際段階の 11.005 から 11.007 項および 11.10 から 11.14項をご参照ください。