PCTニュースレター 01/2017: 実務アドバイス
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中南米で効率的に特許を取得するためのPCT及びPPH-PROSUR
Q: 当方のクライアントにとって中南米諸国でいくつかの発明の特許保護を求めることは重要であり、関心のある数ヶ国に関してはPCTが非常に有益です。しかしながら、たとえ国内段階へ移行しても、特定の中南米諸国は非常に大きな特許審査の滞貨があり、当方のクライアントが適時に特許を取得するのを難しくしています。これらの滞貨に対処するのに役立つようPCTを戦略的に利用出来る方法はあるのでしょうか?
A: PCTの利用は、二国間及び/又は多国間の特許審査ハイウェイ(PPH)合意と組み合わせることにより、特定の国内における滞貨への対処の問題も含め、貴殿のクライアントにとって有益かもしれない幾つかの状況があります。
上述の状況で一つの不可欠な要素は、ごく最近発効したアルゼンチン、ブラジル、チリ、コロンビア、エクアドル、パラグアイ、ペル-及びウルグアイの8つの知的財産庁間による"PPH-PROSUR"の合意でしょう(2016年5月6日のMOUの翻訳を参照:
www.wipo.int/scp/en/meetings/session_25/comments_received/Argentina_2.pdf)。
当該多国間合意により、別のPROSUR国の官庁により先に実施された国内審査の結果、又はPCT国際調査及び予備審査機関としての国立工業所有権機関(ブラジル)及び国立工業所有権機関(チリ)により実施されたPCT調査又は審査の結果に基づいて、この合意の締約国の一つの知的財産庁へPPHプロセスを請求することが可能です。そのためもし貴殿のクライアントがPCT国際調査の実施にあたりブラジル又はチリどちらかの国際調査機関(ISA)を使用していたのであれば、その作業結果を他のPROSUR国での早期審査に直接活用することができます。
しかしながら、他のPCT国際調査機関(ISA)の作業結果もまた、それほど直接的ではないにしても、これらの国での早期審査のベースとして利用される場合もあります。一つの例として、貴殿のクライアントが国際段階でISAとして欧州特許庁を使用していたとします。EPOは現在、コロンビアの知的財産庁とPCT-PPHの合意があります(https://www.epo.org/lawpractice/legal-texts/official-journal/2016/09/a75.html参照)。
そのため、貴殿のPCT出願において、EPOによって肯定的に評価されたいずれかの請求項に基づき、貴殿のクライアントはコロンビアの商工監督局(SIC)に対し国内段階でのPCT-PPH早期審査を請求することができます。また一つ以上の請求項が、国内段階での実体審査においてSICにより特許性を有していると見なされた場合、上記のPPH合意に従い他のPROSUR国において審査は早められるでしょう。たとえ多大な滞貨を有する国であっても、当該方法で進めることにより、特許出願に関する最終決定を受け取る時間を大幅に縮めることができます。またこの間接的な方法は、貴殿のクライアントが現在PCT締約国ではないアルゼンチンやパラグアイ、ウルグアイでも早期審査を求めることを可能にすることにご留意ください。
PCT-PPH合意に関する追加の情報は以下のリンク先をご覧ください。
www.wipo.int/pct/en/filing/pct_pph.html
官庁間の他のワークシェアリングの取り組みに関する詳細は以下のリンク先をご覧ください。
www.wipo.int/patents/en/topics/worksharing/