PCTニュースレター 01/2012: 実務アドバイス
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補充国際調査請求の利点
Q: 国際出願について(第一の)主国際調査に加えて補充国際調査の実施を請求することが可能であることがわかりました。このサービスに課される追加費用を負担するか否か決定する前に、この調査の請求の利点をご教示いただけないでしょか。
A: 1又は複数の補充国際調査から得られる追加情報の利点と、それに伴って課される追加費用とを比較検討する必要があります。補充国際調査の潜在的な利点につき、以下概要を説明します。
主国際調査が高品質なもので、かつ、PCT 最小限資料だけでなく国際調査機関が国内官庁として調査している追加の文献もカバーしているものであっても、補充国際調査は、補充調査のために指定された機関(SISA)が国内又は広域官庁として(先行技術文献)調査するすべての文献を含むため、国内段階で新たなに先行技術が引用されるリスクを軽減し、国内段階での費用発生前に、特許取得の可能性に関するより多くの情報を得ることができるでしょう。(補充国際調査報告の作成期限は、優先日から 28 ヶ月ですので、特定の国の国内段階に移行するか否かの判断前に補充国際調査を受けることができるでしょう。)
関連文献を発見する際の増加してきている問題は、オリジナルの技術開示物の言語の種類が徐々に増えてきていることであり、ある程度の技術開示物の機械翻訳が利用できるにもかかわらず、原語を理解できる審査官によって実施される調査結果へのアクセスに比べて信憑性が低いということです。したがって、一つの庁ですべての PCT 最小限資料を原語で調査することができず(また実際、原語で開示されたものを含む非常に多くの他の特許及び非特許文献を調査することができないことから)、出願人は特定の一又は複数の言語での文書を専門とする国際調査機関による補充国際調査を利用することができます。例えば、もし主国際調査を日本国特許庁が実施したが、当該国際出願に関連する技術をカバーする非常に多くのロシア語の特許文献が存在する場合には、連邦知的所有権特許商標行政局(ROSPATENT)に補充国際調査を請求することは有用かもしれません。
補充国際調査の利点の一つは、国際調査機関の選択の要件とは異なり、補充国際調査機関の選択が受理官庁によって特定されている特定の一又は複数の国際機関に限定されないことです-出願人は、補充国際調査を実施する国際機関を自由に選択、請求することができます。以下の官庁は、表示された言語で出願、或いは翻訳された国際出願について、補充国際調査を提供します。
| オーストリア特許庁 | 英語、仏語、ドイツ語 |
| 欧州特許庁 | 英語、仏語、ドイツ語 |
| フィンランド国立特許・登録委員会 | 英語、フィンランド語、スウェーデン語 |
| 連邦知的所有権特許商標行政局(ROSPATENT) | 英語、ロシア語 |
| スウェーデン特許登録庁 | デンマーク語、英語、ノルウェー語、 スウェーデン語 |
| 北欧特許機構 | デンマーク語、英語、アイスランド語、 ノルウェー語、スウェーデン語 |
どの補充国際調査機関に補充国際調査を請求するか注意深く検討する必要があります。補充国際調査の調査費用とともに調査範囲に基づいて決定されるでしょう。補充国際調査の調査範囲の決定は個々の補充国際調査機関に委ねられており、出願人はそのサービスが特定の出願のニーズを満たしているか決定するでしょう(各補充国際調査機関が提供する調査範囲に関する情報は、PCT出願人の手引き(http://www.wipo.int/pct/en/appguide/index.jsp)のAnnex SISAを参照)。ある補充国際調査機関では専門言語の文書を中心とした調査を提供するでしょうし、他の機関では主国際調査で行う場合と同様の全体の文献をカバーした調査を提供するでしょう。国際事務局に支払う補充調査取扱手数料はどの補充国際調査機関を選択しても同額(200 スイスフラン)ですが、各補充国際調査機関はそれぞれ独自の補充調査手数料を設定していますので、ある機関に対する手数料が他の機関より高い可能性があります(各補充国際調査機関に支払う手数料の詳細はPCT手数料表を参照)。また、補充国際調査機関が調査を実施する言語で国際出願が行われていない場合、さらに翻訳費用が発生するでしょう。
国内段階移行前の包括的な調査に費やしても構わない額は、特定の出願の商業的可能性や保護する国数に依存するかもしれません。保護したい国が多いほど、相対的に高くなる国内段階移行の費用発生前により完全な調査に費用をかけることを希望するでしょう。さらに、補充国際調査の請求の決定は、国内又は広域官庁、独立の調査サービス、出願人自身の調査を行っていればその結果に依存するかもしれません。
国際出願が公開され、補充国際調査報告を受理すると、同報告は国際事務局によりPATENTSCOPE(http://www.wipo.int/patentscope/search/en/structuredSearch.jsf)に収録され一般に閲覧ができるようになります。
補充国際調査はいつも決まって請求するものではありませんが、主国際調査の結果や特定の出願の商業的重要性、または主国際調査機関が専門としない又は調査範囲に含まれない言語で公表された特定の技術分野の先行技術文献の量について考慮した上で戦略的に請求するものです。これは国際段階で追加費用をかける価値のある特別な情報を提供するものです。