注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

発明の名称の修正

Q: 国際公開公報の中に、公報に記載された発明の名称が、願書及び明細書の第 1 ページに記載されている発明の名称と同じでないものがあります。この名称を訂正し、再公開してもらうことは可能でしょうか。

A: もし、国際事務局のデータ入力の誤りにより発明の名称が間違って公開されている場合には、正しい発明の名称で再公開されます。しかしながら、特別なケースですが、当初の発明の名称が国際調査機関により承認されず、国際調査機関が異なる発明の名称を決定した場合があります。

PCT 規則 4.3 では、発明の名称は、短く(英語の場合又は英語に翻訳した場合に二語以上七語以内であることが望ましい)かつ正確なものとする、と規定されています。PCT 規則 44.2に従い、国際調査報告(様式 PCT/ISA/210)において、国際調査機関が出願人により提出された発明の名称を承認するか、又は、国際調査機関がこの発明の名称が PCT 規則 4.3 の要件を満たしていないと判断した場合には、PCT 規則 37.2 に基づき国際調査機関が自ら発明の名称を決定する旨記載するとともに、作成された発明の名称が記載されます。

よって、国際段階の目的で、国際調査機関が決定した発明の名称が国際出願とともに公開されます。この場合、出願人は当該出願について作成された国際調査報告の第 1 ページの 4.で発明の名称が変更された旨通知されます。

一般的に、PCT では、出願人が国際調査機関による PCT 出願の発明の名称の変更に対してコメントを行う機会を国際段階で設けられていません(要約の場合とは異なる、すなわち、PCT 規則 38.2 に基づき国際調査機関により要約が作成された場合に、出願人が提案された要約の修正若しくは当該要約についての意見を国際調査報告が郵送で発送された日から 1 ヶ月以内に国際調査機関に述べることができる)。それでもなお、PCT では、出願人が国際調査機関に連絡し、発明の名称を再検討し、国際調査報告を再発行することを提案することを妨げていません。もし国際調査機関が同意した場合には再び発明の名称が変更されるかもしれませんが、国際調査機関には出願人からのいかなる意見も考慮に入れる義務はなく、発明の名称に間違いが含まれていない限り、変更される可能性はほとんどないでしょう。

一般的に、出願人が国際予備審査の請求を行う場合(PCT 第 34 条に基づく国際出願の補正を行うことができる)、国際予備審査機関によう発明の名称の再検討を依頼することも可能ですが、修正された発明の名称を含む国際出願の再公開は行われません。いずれにしろ、出願人には、PCT 第 28 条に基づき、国内段階移行時に国際出願を補正する機会が与えられており、国内段階移行時にそれぞれの指定官庁に対して発明の名称の変更に関する事項を取り上げることができます。

したがって、上述の場合、国際調査機関が国際事務局に対し、発明の名称をさらに修正した旨の通知がない限り、国際出願が再公開されることはありません。