PCTニュースレター 01/2010: 実務アドバイス
注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。
官庁が二以上の地に所在する場合の期間の末日
Q: 2010 年 1 月 7 日、EPO ミュンヘン本部に国際予備審査の請求書を提出しました。通常、国際予備審査請求書は EPO ハーグ支局に提出しているのですが、本件の国際予備審査請求書の提出期限である 2010 年 1 月 6 日をちょうど過ぎてしまったばかりであったため、1 月 6日に開庁していなかったミュンヘン本部にファックスで提出しました。これにより、ミュンヘン本部が 1 月 6 日に閉庁していたことが考慮されて、提出期限が 1 月 7 日まで一日延長され、請求が期限内に受領されたとみなされることを認識していました。もし本件の請求が 1月 6 日に閉庁していなかった EPO ハーグ支局に提出された場合、提出期限後に提出されたものとみなされたのでしょうか、あるいは、期限内に受領されたものとみなされたのでしょうか。
A: 2010 年 1 月 6 日が期限である EPO への文書の提出や、手数料の支払のいかなる期限も、ミュンヘン本部、ハーグ支局、ベルリン支局のいずれに提出したかを問わず、2010 年 1 月 6日の期限は、通常 1 月 7 日に延長されます。よって、ハーグ支局に請求書を提出していたとしても、提出期限内で請求書が受領されたとみなされます。このような事態は、PCT 規則 80.5(iii)、及び、欧州特許条約(European Patent Convention)で扱われています。本件請求書は実際に閉庁していたミュンヘン本部に提出されたため、PCT規則 80.5(i)に従い提出期限は延長されます。当該規則では、文書及び手数料が国内官庁又は政府間機関に到達すべき期間の末日が、国内官庁若しくは政府間機関が公の事務の処理のために公衆に対して開庁していない日に当たる場合には、その期間は PCT 規則 80.5 に規定されたいずれの日にも該当しない後続の最初の日に満了します。一方、もしハーグ支局かベルリン支局のいずれかに請求書が提出された場合には、PCT 規則 80.5(iii)の規定に従うことになります。同規則には、文書及び手数料が国内官庁又は政府間機関に到達すべき日の末日が、国内官庁若しくは政府間機関が二以上の地に所在する場合、国内官庁若しくは政府間機関の所在地のうち少なくとも一において法定の休日に当たり、かつ、その国内官庁若しくは政府間機関に適用される国内法令が、国内出願について、この場合にはその期間は後続の日に満了すると定めている場合、その期間は PCT 規則 80.5 に規定されたいずれの日にも該当しない後続の最初の日に満了する旨定めています。
EPO の場合、欧州特許条約(European Patent Convention)施行規則の規則 134(1)に規定されています。当該規則では、その期間の末日が EPO の出願受理庁のうちの一庁の閉庁日に該当する場合、その期間は、すべての出願受理庁が文書を受理するために開庁している日であって、その期間の後続の最初の日に延長される旨規定されています。
締約国において二以上の官庁又は郵便のあて名が存在する場合、PCT 規則 80.5(iv)が適用される可能性があります。締約国の一部において法定の休日にあたり、かつ、その国内官庁に適用される国内法令が、国内出願について、この場合にはその期間は後続の日に満了すると定めている場合があります。例えば、カナダに関しては、カナダ知的所有権庁(CIPO)はケベック州に所在しますが、特許庁長官への郵便のあて名として国内の他の地域のいくつかの指定機関が定められています。その一つにオンタリオ州トロントに所在するカナダ産業省があり、CIPO の所在するケベック州と異なる法定の休日があります。よって、指定機関において CIPO と異なる法定の休日にあたる場合 PCT 規則 80.5(iv)が適用されるでしょう。期間の末日がカナダの法定休日にあたる場合の具体的情報は、以下のウェブサイトでご覧いただけます。
http://www.ic.gc.ca/eic/site/cipointernet-internetopic.nsf/eng/wr00823.html
国際事務局が入手した工業所有権庁の年間の閉庁日リストは WIPO ウェブサイトに公開されています。
http://www.wipo.int/pct/en/closeddates/index.html
支局の閉庁日が別途存在する場合もリストに含まれています。