注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

PCT 締約国の国民又は居住者ではない出願人に対する国際出願の譲渡

Q: スペインの国民及び居住者である法人の出願人を代理して国際出願を出願しました。この企業はウルグアイの国民及び居住者である他の企業に発明の権利を譲渡する予定です。米国を指定する目的で、国際出願には他に二人の出願人/発明者が記載してありますが、二人共 PCT 締約国の国民又は居住者ではありません。PCT 締約国の国民又は居住者がいなくなったとしても、PCT 出願は有効でしょうか。有効であるならば、出願人として、どちらの企業が公開された国際出願に記載されるのでしょうか。

A: PCT 出願は国際段階において、いつでも、PCT に拘束されていない国の居住者及び国民を含む、誰に対してでも譲渡することが可能です。出願人は PCT 締約国の居住者若しくは国民でなければならないという PCT 第 9 条の要件は、国際出願日に満たす必要があるだけです。その後の変更は国際出願自体の有効性に影響を与えません。

しかし、第 II 章に基づく国際予備審査請求書を PCT 規則 92 の 2 に基づく出願人の変更の記録の後に提出した場合には、PCT に拘束されていない国の居住者又は国民に対する譲渡は、国際予備審査請求書を提出する権利に影響することがあります。出願人(複数の出願人がいる場合には、少なくとも出願人のうちの一人)が第 II 章に拘束される締約国の居住者又は国民であって、そのような締約国の受理官庁又はそのような受理官庁のために行動する受理官庁に国際出願をしたときは、国際予備審査請求書を提出することができます(PCT 第 31 条(2)(a)及び規則 54.1 及び 54.2 参照)。新たな出願人が PCT 締約国の居住者及び国民ではないことから、第 II 章に基づく国際予備審査請求書を提出する権利はありません。よって、国際予備審査請求書を有効に提出するためには、PCT 規則 92 の 2 に基づく出願人の変更を記録する前に、スペインの出願人の名前で請求書を提出する必要があります。そして、その後に行った国際出願の譲渡は請求書の有効性に影響を与えません。

ご質問者が新たな出願人の代理をする場合には、出願人はご質問者を選任するための委任状に署名をすることが必要です。理想的には、出願人の変更の記録の要請と共に提出しなければなりません。国際事務局(IB)は優先日から 30 ヶ月の期間内に当該要請を受理した場合には、要請された変更を記録します。出願人の情報の公開に関しては、公開の技術的準備が完了する前に、IB 対して出願人の変更の記録の要請がされて記録された場合には、Patentscope® 検索サービスに掲載される公開された国際出願の表紙に、新たな出願人の氏名(名称)が記載されます(にhttp://www.wipo.int/pctdb/en/index.jsp)。国際公開の技術的準備が完了した後にIBが当該要請を受理した場合には、公開された国際出願には当初の出願人が記載されます。しかし、両方の場合とも、書誌情報は新たな出願人の氏名(名称)が掲載(状況に応じて、更新)されます(個別の国際出願の"Biblio. Data" タブの中)。PCT規則 94.1(b)に従って、当初の出願人の氏名(名称)が記載された出願時の願書(様式PCT/RO/101)、及びIBの「変更の記録の通知」("Notification of the Recording of a Change")(様式Form PCT/IB/306)は、国際公開後、第三者が入手することが可能です。2006 年 1 月 1 日以降に出願された全ての国際出願について、これらの書類はPatentscope® 検索サービス("Documents" タブの中)にて入手可能です。それより前に出願された国際出願については、"Biblio. Data" タブの中の出願人の氏名(名称)と"Documents" タブの中の出願人の氏名(名称)を比較することで、PCT規則 92 の 2 に基づく要請がIBに記録されているか、第三者が把握することができます。