注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

ある国でされた先の国内出願に基づく優先権を主張していないにもかかわらず、PCT 規則4.9(b) に基づき当該国の指定を除外した影響

Q: ドイツでされた先の出願に基づく優先権を主張して多くの国際出願を出願しています。当該国際出願においては、ドイツの指定を除外するために PCT 規則 4.9(b) の規定に従って願書の第 V 欄の該当チェック欄にチェックを入れています。その後、ドイツでされた先の出願に基づく優先権を主張していない国際出願であるにもかかわらず、当該チェック欄にチェックを入れて国際出願を出願してしまいました(当該国際出願はオーストリアでされた先の出願に基づく優先権を主張しています)。チェック欄にチェックを入れたことによってどのような影響があるのでしょうか。ドイツを現時点でも指定することは可能でしょうか。

A: 特定国(現時点では、ドイツ、日本、大韓民国及びロシア連邦)の国内法令が、後に出願された国際出願が先の国内出願の優先権を主張しかつ当該国を指定している場合に、先の国内出願が自動的に取下げられることを規定していることに対応するために、PCT 規則4.9(b) は採用されました。上記の状況において、出願人は PCT 規則 4.9(a) に基づく全てのPCT 締約国の自動的な指定から関係する国を除外することが可能です。その結果、先の国内出願を維持するこができます。

ドイツの指定を除外したとしても、特定の国に出願した先の国内出願に基づく優先権が第 VI欄で主張されている場合にのみ、PCT 規則 4.9(b) に基づいて第 V 欄において当該特定の国の指定を除外することができます。したがって、出願時に国際出願の願書にドイツを指定しないことが規則 4.9(b) に基づき示されているが、その国に出願された先の国内出願に基づく優先権の主張が含まれていない場合には、優先権の主張の欠落は書き忘れであるとして、欠落した優先権の主張を追加する機会を出願人に与えるために規則 26 の 2(優先権の主張の補充又は追加)に関する通知が受理官庁から出願人に届きます。実施細則セクション 319 に従い、規則 26 の 2.1(a) に基づく期間内にドイツに出願された先の国際出願に基づく優先権の主張を補充又は追加する通知を受理官庁が受理しなかった場合には、第 V 欄のチェックは職権により受理官庁が取消します。その結果、ドイツの指定は回復されます。受理官庁は PCT様式PCT/RO/146によって第V欄のチェックは職権により取消されたことを出願人及び国際事務局に通知します。よって、出願人はこの状況でいかなる手続も行う必要はありません。

それにもかかわらず、ドイツの指定を誤って削除してことに気付いた時点で受理官庁に通知し、当該国際出願がドイツへの先の国内出願に基づく優先権を主張しないことを確認することができます。これにより訂正手続は効率化されます(受理官庁は上記の通知を行う必要がなくなります。)。また、受理官庁が実施細則セクション 319(b) を直接適用することが可能になります。

上述の説明は、日本、大韓民国、ロシア連邦の指定を誤って除外した場合にも同様に該当します。

PCT 規則 4.9(b) の意義に関する更なる情報については PCT Newsletter No. 11/2003 及びNO. 04/2006 をご覧下さい。