最も急成長しているファストフードブランドがマドリッド制度を活用することでグローバルに進出
MIXUEBINGCHENG Co., Ltd (「MIXUE」) は、1997年に中国河南省鄭州の路上にあるささやかなアイスクリーム屋台として開業しました。今日では、中国全土だけでなく海外でもよく知られたブランドとなり、毎日何百万人もの人々にアイスクリーム、フルーツドリンク、紅茶、コーヒーを提供しています。
では、地元の小さな屋台から起業して、どのようにしてこれほど素晴らしい世界的な成功を収めたのでしょうか?それは下記を組み合わせることによってでした。
- イノベーション – 新しく魅力的な製品に投資し続けること。
- スマートな価格設定 – 品質と手頃な価格の適切なバランスを見つけること。
- 市場調査 – 顧客の傾向と好みを第一に考えること。
- 印象的なマーケティング – ユニークで愛すべきブランドアンバサダーを作成すること。
- 商標保護 – 新しい市場でもブランドとビジネスの保護を続けること。
アイスクリーム屋台からフランチャイズ業界の巨人へ: MIXIUEの歩み
1997年6月に、河南省出身の大学生であったZhang Hongchao氏は、家族を養うために飲料スタンドでアルバイトを始めました。それは、シンプルな一歩でしたが、これが後に人生を変える構想を呼び起こすことになります。
祖母からの少額の融資を得て、Zhang氏は故郷の鄭州にかき氷の屋台を始めました。その試みは短命に終わりましたが、氏は簡単に諦めることはなく、新しい手法に挑戦しました。今度はアイスクリーム製品に特化したのです。氏の使命は、「アイスクリームを誰もが手の届くものにする」というシンプルなものでした。彼は新しい事業を「Mìxuě Bīngchéng」と名付けました。これは直訳すると「甘い雪、氷の宮殿」というものです。
ここに、後にMIXUEBINGCHENG Co., Ltd.となる基礎が築かれました。
Mixue「Snow King」: 一目で認識できる文化的象徴
急速な事業拡大によってMIXUEには課題ができました。その中でも特に、市場が飽和状態の中から卓越することは大きな課題でした。これに対する答えは、2018年に、MIXUEに「顔」を与え、ブランドを新たな高みへと押し上げる画期的なブランディング戦略という形で見つかりました。王冠をかぶった陽気な「Snow King」 (「雪王」) は、同社の公式マスコット兼ブランドアンバサダーとなることになります。
ブランドを人間味のあるものにし、若い視聴者とつながるために作成されたSnow Kingは、すぐに単なるロゴ以上のものになりました。音声、動画、アニメーション・コンテンツを鮮やかに組み合わせることで、Snow Kingは文化的シンボルに進化し、MIXUEを、人々が認識し、共感し、愛すべきブランドにすることに貢献しました。
店舗数で世界最大のファストフードチェーン
現在、MIXUEは中国及びその他の11か国に46,000を超えるフランチャイズ店舗のネットワークを持っており、店舗数ではこの分野の最大のリーダーではないかもしれませんが、少なくとも有数のリーダーとなっています。
同社は2つのコアブランドの下で事業を展開しています。
- MIXUE – 作りたてのお茶の飲み物とアイスクリームで知られています。そして
- LUCKYCUP – 淹れたてのコーヒーを専門に扱っています。
「MIXUE」という名前は、北京語のMi (「蜂蜜」) とXue (「雪」) を組み合わせたもので、ブランドの爽やかさが自慢の代表商品にちなんでいます。両者が組み合わさることで、「蜂蜜のように甘い雪」という意味が伝わります。
Mixueブランドを国際的保護するための要となるコスト効率とシンプルさ
知的財産 (IP) の保護は、MIXIUEの世界展開の大きな原動力となっています。
「私たちの使命は、ブランドを強化し、パートナーの益々の発展に寄与し、世界中の誰もが本格的な中国の味と国際基準を融合させた高品質で手頃な価格のおいしい飲み物を楽しめるようにすることです。」
MIXUE
2007年に同社は最初の国内商標である「蜜雪冰城」 (MìxuěBīngchéng) を出願しました。現在、MIXUEとその関連会社は世界中で5,000超の登録商標を保有しています。これほどの商標ポートフォリオを築くのは容易ではありませんでした。
「我々が目指す市場はそれぞれ商標の基準や手順が異なっているため、世界的な商標保護は非常に複雑でした。」と同社は説明します。「当社の製品は多数の商品・役務区分にわたっており、各国で商標を登録するには相応のコストがかかります。」
MIXUEは、ブランドをグローバルに保護、管理するための画期的なソリューションを必要としていました。
WIPOのマドリッド制度 – ゲームチェンジャー
2024年11月、MIXIEはWIPOのマドリッド制度を通じて2つの国際商標登録を出願しましたが、それは以下のことを達成するためです。
- 商標ポートフォリオの最適化
- 国際的な商標保護の強化
- グローバル市場展開における知的財産上の課題に果敢に対応
MIXUEは、各出願に対して、マドリッド制度の対象となる131の市場のうち、なんと94の市場 – アフリカ知的所有権機関と欧州連合知的財産庁の全ての加盟国を含む – で保護を求めています。
WIPOのマドリッド制度を選んだ主な要因は?
- コスト効率: 「出願手数料は、特に複数の区分と国をカバーする一括出願の場合、国内登録出願をそれぞれ行う場合よりも大幅に低くなります」とMIXUE社は説明します。
- 合理化されたプロセス: 「中国語で願書を提出し、中国国家知識産権局 (CNIPA) に直接書類を送ることができました。国ごとに翻訳や公証を準備する必要がありませんでした。」
- 優先権による保護: 「中国国内での商標登録に基づき、マドリッド制度の他の市場において6か月の優先権主張期間を利用することが可能です。これは、商標の先取りを防止するうえで有効です。」
- 柔軟に拡張可能: 「マドリッド制度の事後指定制度を通じて、随時保護を拡張することができます。」
「マドリッド制度により、必要なときに必要な場所で、ブランドの保護を新市場へ地理的に拡大できるようになります。」
MIXUE
イノベーション、ブランディング、戦略: 完璧なレシピ
大学生のアルバイトから始めて、46,000を超える店舗を展開する帝国を築くまでのMIXUEの歩みは、イノベーション、ブランディング、戦略的知的財産保護の適切な組み合わせによって、地元での成功がどのようにして世界的現象に至ったのかを示しています。
MIXUEの目覚ましい変革は一夜にして起こったものではありません。この変革は、戦略的意思決定とともに、世界展開には優れた製品以上のものが必要であるという明確な理解に基づいて構築されました。そして、このためには法的な先見の明と確固たる商標保護が必要でした。
MIXUEは、主要な国際市場において国境を越えてブランド保護を拡大しており、消費者の共感を受けた実証済みのビジネスモデルを用いることができ、新しい領域への拡大を続ける際に有利な立場にあります。
MIXUEの国際商標登録についての詳細については、こちらをご覧ください。
マドリッド制度について
マドリッド制度は、単一の言語による単一の出願を提出し、手数料一式を支払うことで、最大130か国で商標を登録することができる、便利で費用対効果の高いソリューションです。
