WIPOグローバル・アワード
WIPOグローバル・アワードは、ビジネス目標を達成し社会利益を創出するために知的財産を巧く活用する、傑出した中小企業やスタートアップ企業を称える賞です。
対象となるのは、以下の点で優れた成果を上げている中小企業です。
- 知財・無形資産を利用した収益性のある事業創出
- 事業成長に向けた知財活用
- SDGsの取り組みに向けたソリューションの提案
WIPOは毎年、世界中のあらゆる業界の中小企業やスタートアップ企業を対象に、WIPOグローバル・アワードのコンペティションへの参加企業を募集しています。受賞企業には、以下の機会が提供されます。
- 知財の商業化戦略の強化 (資金調達やビジネスパートナーシップの機会促進を含む) に向けた個別指導メンタリング・プログラム
- 国際的なプロモーションや様々なターゲットオーディエンスにおけるビジビリティの向上
- ジュネーブで開催される授賞式やネットワーキングイベントへの招待 (旅費支給)
- 知財管理に関する助言を受けるためのWIPOのネットワークやリソースへのアクセス
2024年のコンペティションの応募受付は3月31日に終了しました。
受賞者の顔ぶれ
2024年
AETECH社 – 韓国
グリーン技術、サーキュラーエコノミー
AIを活用した廃棄物分別システム
Farmer Lifeline Technologies社 – ケニア
グリーン技術、農業
AIを活用した作物害虫検知システム
Healinno Tech社 – 中国
健康
ウォータージェット前立腺肥大症手術ロボット
Laboratorios Química Luar社 – アルゼンチン
健康
吸入型イブプロフェン系製剤
Meticuly社 – タイ
健康
3Dプリントによる人工骨
PONS Technology社 – トルコ
健康
病院外でのスキャン
Qnami社 – スイス
情報通信技術
量子ダイヤモンド顕微鏡技術
ScansX社 – クウェート
健康
腫瘍の初期徴候を検出する脳スキャナー
VIVO Surgical社 – シンガポール
健康
高精度手術器具
2023年
Aerosol社 — スロベニア
健康、環境
大気質測定機器
CRQM社 — メキシコ
健康技術、サービス、研究
網膜ドラッグデリバリー用ナノテクノロジー・プラットフォーム
Flexxon社 — シンガポール
サイバーセキュリティのハードウェアとソフトウェア
AIを活用したリアルタイム・ランサムウェア対策ソリューション
Lactips社 — フランス
グリーン・ソリューション
完全に生分解可能なプラスチックフリー技術
Westwell社 — 中国
グリーン・ソリューション
バルク輸送のためのインテリジェントで環境に優しいソリューション
KissFuture社 — 中国
VR (仮想現実) 技術
映画館や文化施設向けのイマーシブ・ソリューション
Yakwetu社 — ケニア
エンターテイメント技術
著作権侵害対策に取り組むデジタルコンテンツ配信
2022年
Hydraloop社 — オランダ
グリーン・ソリューション
分散型水リサイクル製品の設計と製造
Raycan社 — 中国
健康サービス、研究
医療イメージング技術
Lucence社 — シンガポール
健康技術、研究
がんの早期発見・治療
Shylon社 — 中国
グリーン・ソリューション
屋内・屋外用の省エネ照明
Splink社 — 日本
健康技術
認知症などの神経変性疾患の診断
受賞者のメンタリング
受賞企業には、知財に裏付けられたイノベーションと創造性の事業化をさらに推し進め、新たな資金調達手段を検討するための個別指導メンタリング・プログラムが進呈されます。
国際審査委員会
受賞者は、世界的な功績が認められている著名人からなる独立した審査委員会による審議・評価を経て決定されます。
審査委員会は、包括的でインクルーシブな評価プロセスを保証できるよう、地理また性別、年齢、文化、言語、業界の多様性を重視して構成されます。
審査員は、テクノロジー、ビジネス、文化、政府、市民社会といった多様なセクターから選ばれ、クリエイティブ産業、医療、農業、製造業、IT、電気通信、観光、スポーツ、貿易、教育、金融などの分野にまたがる知的財産 (IP) に関する幅広い専門知識を有しています。
トロフィーの製作
WIPOグローバル・アワードは、イノベーションに取り組み、知的財産を通じて世界に前向きな変化をもたらすことを参加者に奨励するための賞です。受賞者の創造力、ひたむきさ、勤勉さを称え、その功績の象徴として特別にデザインされたトロフィーが各受賞者に贈られます。
ガラス工芸の美
壮麗なガラスの円盤からなるこのトロフィーは、卓越性を具現化したものです。WIPOのデザインチームのコンセプトに基づき、ベネチアのムラーノ島で40年以上の経験を積んだ熟練職人の手によって一点一点製作されています。
トロフィーの製作過程は、火で熱せられ柔らかくなったガラスを組み合わせることから始まります。青、オレンジ色、黄色の色合いを持つこの6枚のガラスを重ね合わせて円盤状にし、熟練した技と経験によって繊細な模様が作り出されます。
溶けたガラスを固形の円盤にするのは、至難の業であり、ガラス職人としての真価が問われます。ガラスの厚みが原因で冷ましている間にヒビが入ってしまう可能性があるため、制御された温度に徐々に戻され、ガラスが固化し、トロフィーの最終的な形状が生み出されます。
色と形でイノベーションを象徴
重なり合った半透明の楕円形からなるトロフィーは、限界への挑戦、創造的思考力がビジネスのプロセスに及ぼす影響、さらには理解し、イノベーションをもたらし、粘り強く取り組むために必要な柔軟性を表現しています。
それぞれの色は、情熱、意欲、決意を表しています。トロフィーのやや不規則な形状は混乱や変化への取り組みを、楕円形は継続的な向上のために必要な空間を象徴しています。
これらの形状の組み合わせによる波及効果は、受賞者が業界や世界に与える影響力を示しています。
WIPOグローバル・アワードについて
2022年に創設されたWIPOグローバル・アワード・プログラムは、あらゆる場所で生み出されるイノベーションや創造性がすべての人の利益となるよう、知的財産によって支えられる世界を実現するというWIPOの使命に根ざしたものです。
WIPOグローバル・アワードは、知的財産を活用して事業目標を達成し、収益を生み出し、雇用を創出し、また地域や世界の課題に取り組み地域社会や国の発展に貢献する発明者・クリエイター・起業家たちを表彰し、知的財産・無形資産の事業化を推進することを目的としています。
このコンペティションは、WIPO加盟国193ヶ国における多種多様な業種の応募者を対象に毎年開催されています。当初は中小企業を対象としていましたが、スタートアップ企業に特化した部門が2024年に新設されました。
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