注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

国際調査及び予備審査機関に対する代理人の選任

Q: 私が働いている欧州の特許事務所が、欧州特許条約の締約国の居住者又は国民ではない出願人のみからなる国際出願を誤って受理官庁としての欧州特許庁(EPO)に出願してしまいました。その結果、PCT 規則 19.4(a)(i)に基づいて、当該出願は受理官庁としての国際事務局(RO/IB)に送付されました。私の事務所が RO/IB に対して代理人を務めることは可能でしょうか。それとも、出願人が国民である又は居住者である国から代理人を選任しなければならないのでしょうか。RO/IB に対して私の事務所が代理人を務めることができないのであれば、特に国際調査及び予備審査のために、国際調査機関(ISA)及び国際予備審査機関(IPEA)としての EPO に対する代理人として、私の事務所が選任されることは可能でしょうか。(EPO はこの出願の管轄 ISA 及び IPEA です。)

A: PCT規則83.1の2(a)に基づき、RO/IBに対して出願人を代理することができるためには、出願人が居住者である又は国民である締約国の国内(広域)官庁又はその締約国のために行動する国内(広域)官庁に対し、代理人が業として手続きをとる権能を有することが必要です。もし、当該特許事務所の中に、関係する官庁に対して特許弁護士又は弁理士として登録されている者がいなければ、当該特許事務所が出願人を代理することはできません。(PCT 出願人の手引き、受理官庁、附属書 C の関係する受理官庁の記載を参照(www.wipo.int/pct/guide/en/index.html))そして、出願人が代理人を選任するのであれば、上記要件を満たす者であることが必要です。

しかし、当該特許事務所は PCT 規則 90.1(b)及び(c)に基づいて、ISA 及び IPEA に対する調査及び審査を特に目的とした代理人として選任されることが可能です。つまり、出願が出願された受理官庁に関係なく、又は、PCT 規則 90.1(a)に基づき、国際段階全体において出願の代理人を務める代理人に関係なく、ISA/IPEA として行動する国内官庁又は政府間機関に対して業として手続きをとる権能を有する者であれば、代理人として選任されることができます。(国内又は広域官庁に対し誰が業として手続きをとる権能を有するのかについての情報は、PCT 出願人の手引きの関係する国内段階(概要)若しくは関係する官庁にお問合せください。)ご質問の状況においては、当該特許事務所は ISA 及び IPEA としての EPO に対して業として手続きをとる権能を有しているので、出願人は当該特許事務所を特に EPO に対して手続きをする代理人として選任することができます。

実務上、調査手続きにおいては ISA との連絡はなく、通常は ISA に書類を提出することはありません(PCT 第 19 条に基づく補正は、出願人又は受理官庁に対して代理できる代理人によって、国際事務局に対して提出される)。したがって、国際調査の目的で特別に代理人を選任することが絶対に必要というわけではありません。特別に選任された代理人は国際調査報告及び ISA の見解書を単に受取ることになります。しかし、国際予備審査の段階では、代理人は IPEA の見解書に応答が必要な場合がありますし、審査官と連絡を取ることが必要な場合もあります。IPEA に対して手続きをするために特に選任された追加の代理人がいた場合、IPEA によって作成された全ての通知は追加の代理人にのみ送付され、国際段階全体の目的で選任された代理人に対しては送付されません。ただし、追加の代理人は国際予備審査手続きに関してのみ手続きが可能なので、例えば、国際出願の取下げを行うことはできません。

このような方法で当該特許事務所が選任されるためには、場合によって、別個の委任状を ISA及び/又は IPEA に通常通り直接提出する必要があります(PCT 規則 90.4(b)参照)。また、ISA/IPEA が委任状を提出する要件を放棄している場合には、委任状が必要ないこともあります(PCT 規則 90.4(d))。-「放棄:委任状」("Waivers: Powers of Attorney")の表をご参照ください。

www.wipo.int/pct/en/texts/pdf/p_a_waivers.pdf

EPO によって委任状が必要とされる例は、EPO の公報 No. 5/2004 の 305 頁に掲載されています。

www.european-patent-office.org/epo/pubs/oj004/05_04/05_3054a.pdf

IPEA に対して代理人を選任するための委任状を提出する代わりに、出願人が署名した国際予備審査の請求書(様式 PCT/IPEA/401)の第 III 欄に「特に国際予備審査機関に対する手続きのために、今回新たに選任された者」として代理人の名前を記載することで、選任を簡易に行うことができます。