特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律施行規則(昭和五十三年七月二十九日通商産業省令第三十四号)
最終改正:平成二一年一二月二一日経済産業省令第七〇号
特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律(昭和五十三年法律第三十号)及び特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律施行令(昭和五十三年政令第二百九十一号)の規定に基づき、並びにこれらの法令を実施するため、特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律施行規則を次のように制定する。
第一章 総則(第一条―第十一条の三) 第二章 国際出願(第十二条―第三十八条) 第三章 国際調査(第三十九条―第五十条の三) 第四章 国際予備審査(第五十一条―第七十条) 第五章 雑則(第七十一条―第八十二条) 附則
第一章 総則
(用語)第一条 この省令で使用する用語は、特許協力条約に基づく国際出願等に関する法律(以下「法」という。)で使用する用語の例による。
(書面による手続等)第二条 法に基づく国際出願、国際調査及び国際予備審査に関する手続(以下「手続」という。)は、法令に
別段の定めがある場合を除き、書面でしなければならない。2 書面は、一件ごとに作成しなければならない。3 書面には、提出者の氏名又は名称及びあて名を記載し、かつ、印を押さなければならない。ただし、その
書面が特許庁以外の条約に規定する国際調査機関が国際調査をする国際出願に関するものであるときは、押印に代えて提出者が署名をしなければならない。
(書面の用語等)第三条 書面は、次項に規定するものを除き、当該書面に係る国際出願の言語と同一の言語により記載しなければならない。2 委任状、国籍証明書その他の書面であつて、当該書面に係る国際出願の言語以外の言語により記載されたものには、当該国際出願の言語によるその翻訳文を添付しなければならない。
(記載してはならない表現等)
第四条 国際出願には、次のものを記載してはならない。一 善良の風俗に反する表現又は図面二 公の秩序に反する表現又は図面三 出願人以外の特定の者の生産物、方法又は出願若しくは特許の利点若しくは有効性をひぼうする記述
四 国際出願に記載した事項と関連性のない又は不必要な記述
(代理権の証明)
第五条 法定代理権若しくは次に掲げる手続をする者の代理人の代理権又は代表者である旨は、書面をもつてこれを証明しなければならない。一 第三十六条第一項に規定する国際出願の取下げ、条約第四条(1)(ii)の規定による締約国(以下「指定国」という。)の指定の取下げ又は国際出願についての優先権の主張の取下げ二 国際予備審査を請求する者が国際予備審査請求書においてする代理人又は代表者の選任の届出
2 手続をした者が第六条第二項の規定による代理人若しくは代表者の選任の届出又は第六条の二第一項の規定による復代理人の選任の届出をする場合は、その代理人若しくは復代理人の代理権又は代表者である旨は、書面をもつて証明しなければならない。
3 特許庁長官は、代理人又は第六条第一項に規定する代表者がした前二項に掲げる手続以外の手続について必要があると認めるときは、代理権又は代表者である旨を証明する書面の提出を命ずることができる。
(代理人又は代表者の選任等)
第六条 手続をする者は、その者が記名し、かつ、印を押した願書(特許庁以外の条約に規定する国際調査機関が国際調査をする国際出願にあつては、その者が記名し、かつ、署名をしたもの)又は国際予備審査請求書においてその代理人又は代表者の選任を届け出ることができる。
2 前項の規定による届出をしなかつた者がその代理人又は代表者の選任を届け出るときは、様式第一又は様式第一の二によりしなければならない。
3 手続をした者がその代理人又は代表者の選任を届け出た後に、それぞれ、代理人又は代表者の選任を更に届け出たときは、その届出の書面に先の届出に係る代理人又は代表者を引き続き代理人又は代表者とする旨の記載がある場合を除き、先の届出は取り下げられたものとみなす。
4 手続をした者の代理人又は代表者の解任又は辞任を届け出るときは、様式第二又は様式第二の二によりしなければならない。
(復代理人の選任等)
第六条の二 手続をした者の代理人は、その代理権を証明する書面に、当該代理人が復代理人を選任することができない旨の記載がある場合を除き、手続をした者の復代理人の選任を届け出ることができる。
2 前項の規定による届出は、様式第二の三又は様式第二の四によりしなければならない。
3 手続をした者の復代理人の解任又は辞任を届け出るときは、様式第二の五又は様式第二の六によりしなければならない。
(包括委任状の提出等)
第六条の三 手続をする者が規則90.5(b)に規定する包括委任状を提出するときは、様式第二の七又は様式第二の八によりしなければならない。
2 前項の規定により包括委任状を提出した者は、その謄本を願書、国際予備審査請求書その他の国際出願に関する書類に添付して第五条に規定する書面による証明に代えることができる。
3 第一項の包括委任状に記載された代理人の解任又は辞任を届け出るときは、様式第二の九又は様式第二の十によりしなければならない。
(書面による証明)
第七条 手続をする者は、手続をすることについて第三者の許可又は同意を要するときは、書面をもつてこれを証明しなければならない。
第八条 特許庁長官は、出願人のした手続について必要があると認めるときは、次に掲げる書面の提出を命ずることができる。一 その国籍を証明する書面二 法人であるときは、法人であることを証明する書面三 その住所又は居所(法人にあつては、営業所)を証明する書面
(氏名変更等の届出)
第九条 手続をした者又はその代理人がその氏名若しくは名称、あて名又は印鑑を変更したときは、様式第三若しくは様式第三の二、様式第四若しくは様式第四の二又は様式第五若しくは様式第五の二により、特許庁長官に対し、遅滞なく、その旨を届け出なければならない。
2 手続をした者がその国籍又は住所の変更を届け出るときは、様式第五の三若しくは様式第五の四又は様式第五の五若しくは様式第五の六によりしなければならない。
3 発明者の氏名若しくは名称又はあて名の変更を届け出るときは、様式第三若しくは様式第三の二又は様式第四若しくは様式第四の二によりしなければならない。
(名義変更の届出)
第十条 手続をした者の名義が変更したときは、様式第六又は様式第六の二により、特許庁長官に対し、遅滞なく、その旨を届け出なければならない。
2 発明者の名義の変更を届け出るときは、様式第六又は様式第六の二によりしなければならない。
(国際出願番号の表示)
第十一条 特許庁に対し国際出願の後その国際出願に関し書類その他の物件を提出する者は、これにその国際出願番号を表示しなければならない。
(ファクシミリ装置による書類の提出)
第十一条の二 特許庁に対し願書その他の国際出願に関する書類を提出しようとする者は、当該書類をファクシミリ装置により提出することができる。
2 特許庁長官は、前項の規定により提出された書類に記載された事項の全部若しくは一部が明りようでない場合又はその書類の一部が特許庁に到達しなかつた場合は、その明りようでない部分又は到達しなかつた部分についてその書類の提出は行われなかつたものとみなし、その旨を出願人に通知しなければならない。
3 特許庁長官は、第一項の規定により提出された国際出願に関する書類について必要があると認めるときは、当該出願人に対し、相当の期間を指定してその書類の原本の提出を命ずることができる。
4 前項の規定により、願書、明細書、請求の範囲、必要な図面又は要約書の原本の提出を命じられた者が、同項の規定により指定された期間内に当該原本を提出しなかつたときは、当該国際出願は取り下げられたものとみなす。
5 第三項の規定により書類(願書、明細書、請求の範囲、必要な図面又は要約書を除く。)の原本の提出を命じられた者が、同項の規定により指定された期間内に当該原本を提出しなかつたときは、当該書類の提出は、行われなかつたものとみなす。
(特許庁以外の条約に規定する国際調査機関等の告示)
第十一条の三 特許庁長官は、条約第十六条(2)及び条約第三十二条(2)並びに規則35.2(a)(ii)(規則59.1において準用する場合を含む。)の規定により特許庁以外の条約に規定する国際調査機関及び国際予備審査機関(以下この条において「国際調査機関等」という。)の特定をしたときは、遅滞なく、その国際調査機関等、その国際調査機関等によつて管轄されることとなる国際出願の種類その他必要な事項を告示しなければならない。
第二章 国際出願
(外国語による国際出願の言語)第十二条 法第三条第一項の経済産業省令で定める外国語は、英語とする。
(発明の単一性)
第十三条 国際出願は、一の発明又は規則第十三規則に規定する単一の一般的発明概念を形成するように連関している一群の発明ごとにするものとする。
(願書等の提出)
第十四条 願書、明細書、請求の範囲、必要な図面及び要約書は、それぞれ別の書面で作成しなければならない。
2 前項の書面は、各一通を提出しなければならない。
3 国際出願をしようとする者は、特許庁長官が定める方式に従つて記録したフレキシブルディスクを、第十六条第一項に規定する方式に従つて作成した願書に添付することができる。
(願書の記載事項)
第十五条 法第三条第二項第四号の経済産業省令で定める事項は、次に掲げる事項とする。一 出願人のあて名(出願人が二人以上ある場合にあつては、日本国民等である出願人のうち少なくとも一人のあて名)二 代理人又は代表者がある場合は、代理人又は代表者の氏名及びあて名三 指定国のうち、いずれかの国の国内法令が条約第二条(vi)に規定する国内出願(以下「国内出願」という。)をするときに発明者の氏名又は名称及びあて名を表示することを定めている場合は、これらの事項四 条約第八条(1)の規定により国際出願について優先権を主張しようとする者は、その旨及び次に掲げる事項イ優先権の主張の基礎となる出願が、国内出願(条約第二条(v)に規定する広域出願(以下「広域出願」という。)を除く。)である場合にあつてはその出願のされたパリ条約(千九百年十二月十四日にブラッセルで、千九百十一年六月二日にワシントンで、千九百二十五年十一月六日にヘーグで、千九百三十四年六月二日にロンドンで、千九百五十八年十月三十一日にリスボンで及び千九百六十七年七月十四日にストックホルムで改正された工業所有権の保護に関する千八百八十三年三月二十日のパリ条約をいう。以下同じ。)の同盟国又は世界貿易機関の加盟国の国名、広域出願である場合にあつては条約第四十五条(1)に規定する広域特許条約(以下「広域特許条約」という。)に基づき条約第二条(iv)に規定する広域特許を付与する権限を有する機関の名称、国際出願である場合にあつ
てはその出願のされた受理官庁の名称ロ 優先権の主張の基礎となる出願の年月日ハ 優先権の主張の基礎となる出願の出願番号ニ 優先権の主張の基礎となる出願が広域出願であり、かつ、広域特許条約の締結国のいずれかがパリ条
約の同盟国又は世界貿易機関の加盟国のいずれにも該当しない場合にあつては、その出願がその国に
ついてされた国のうち、少なくとも一のパリ条約の同盟国又は世界貿易機関の加盟国の国名
五 出願人が、指定国のうちいずれかの国においてその国際出願が条約第四十三条に規定する追加特許、追加発明者証若しくは追加実用証を受けようとする出願又は規則4.11(a)(iv)に規定する継続出願若しくは一部継続出願として取り扱われることを求める場合にはその旨並びに当該国際出願の原出願の出願番号及び出願年月日又は当該国際出願の原特許、原発明者証若しくは原実用証の番号及び出願年月日
六 出願人がした他の出願であつてその国際出願に係る発明と関連する発明についての国際出願又は国内出願(特許出願若しくは実用新案登録出願又は条約第十五条(5)(a)に規定する国際型調査(以下「国際型調査」という。)を請求したものに限る。)があるときは、当該国際出願又は国内出願のされた国名、出願年月日及び出願番号並びに国際型調査を請求した国内出願の場合にあつては当該国際型調査の請求の年月日及び請求の番号
七 規則4.1(c)(iii)に規定する申立てをする者は、特許庁長官が定めるところにより作成した事項
(願書の様式等)
第十六条 願書は、印刷若しくはコンピューター印字による様式第七若しくは様式第七の二により作成し、又は特許庁長官が定める方式に従つて作成しなければならない。
2 前項の書面にする出願人の押印又は署名は、第二条第三項の規定にかかわらず、出願人が二人以上ある場合にあつては、出願人のうち少なくとも一人の押印又は署名とする。
(明細書の記載事項等)
第十七条 明細書には、その発明の属する技術の分野における専門家がその実施をすることができる程度に、明確かつ十分にその発明の説明を記載しなければならない。
2 明細書は、様式第八又は様式第八の二により作成しなければならない。
(請求の範囲の記載事項等)
第十八条 請求の範囲には、保護が求められている事項を発明の技術的特徴により明確かつ簡潔に記載しなければならない。この場合において、請求の範囲は、明細書により十分に裏付けされていなければならない。
2 請求の範囲は、様式第九又は様式第九の二により作成しなければならない。
(図面の様式)第十九条 図面は、様式第十又は様式第十の二により作成しなければならない。
(要約書の記載事項等)
第二十条 要約書には、明細書、請求の範囲及び図面に記載されている発明の概要を記載しなければならない。2 要約書は、様式第十一又は様式第十一の二により作成しなければならない。
(認証謄本の提出等)
第二十一条 国際出願において国内出願又は国際出願を基礎とする優先権を主張しようとする出願人は、条約第二条(xi)に規定する優先日(以下「優先日」という。)から一年四月以内に、その国内出願又は国際出願を受理した当局が認証した当該国内出願又は国際出願の謄本(以下「優先権書類」という。)を、特許庁長官に対し、提出することができる。
2 前項の規定による優先権書類の提出は、様式第十一の三又は様式第十一の四によりしなければならない。
3 国際出願において特許出願、実用新案登録出願又は特許庁長官に提出された国際出願を基礎とする優先権を主張しようとする出願人は、優先日から一年四月以内に、優先権書類を国際事務局に送付するよう、特許庁長官に対し、請求することができる。
4 前項の規定による請求をする者は、その優先権を主張する旨を記載した書面を提出しなければならない。この場合において、特許庁長官は、特に必要があると認めるときは、当該優先権を主張するための書類の提出を求めることができる。
5 第三項の規定による請求は、願書又は様式第十一の五若しくは様式第十一の六によりしなければならない。
(国際出願番号等の通知)
第二十二条 特許庁長官は、国際出願として提出された書類を受理したときは、その国際出願番号及び当該国際出願が特許庁に到達した日を出願人に通知しなければならない。
(意見書の提出)
第二十二条の二 出願人は、法第四条第二項の規定により手続の補完をすべきことを命じられたときは、同項の規定により指定された期間内に限り、意見書を提出することができる。
2 前項の意見書は、様式第十一の七又は様式第十一の八により作成しなければならない。
(国際出願日の通知)
第二十三条 特許庁長官は、法第四条第一項又は第三項の規定により国際出願日の認定をしたときは、当該国際出願日として認定した日を出願人に通知しなければならない。
(手続補完書の様式)
第二十四条 法第四条第二項の規定による命令又は法第十七条の規定による手続の補完は、様式第十二又は様式第十二の二によりしなければならない。
(国際出願として取り扱わない旨の通知)
第二十五条 特許庁長官は、法第四条第二項の規定により手続の補完をすべきことを命じられた者が同項 の規定により指定した期間内に手続の補完に係る書面の提出をしないとき又は同項の規定による命令に基づき提出された当該書面において、その手続の補完がされていないときは、その出願は国際出願として取り扱われない旨をその理由を付して出願人に通知しなければならない。
(図面の提出の様式)
第二十六条 法第五条第二項又は法第十七条の規定による図面の提出は、様式第十三又は様式第十三の二によりしなければならない。
(図面の提出期間)
第二十七条 法第五条第二項の経済産業省令で定める期間は、同条第一項の規定による通知の日から二月とする。
(優先権の主張の追加)
第二十七条の二 出願人は、優先日(優先権の主張を追加して行うことにより優先日について変更が生じる場合には、変更前の優先日又は変更後の優先日のいずれか早い日)から一年四月以内に、特許庁長官に対し、書面により優先権の主張を追加して行うことができる。ただし、当該書面は国際出願日から四月以内に提出しなければならない。
2 前項の規定による優先権の主張の追加は、様式第十三の三又は様式第十三の四によりしなければならない。
(優先権の主張の補正)