特許・意匠・商標制度の見直し 令和元年5月特許庁 デジタル革命により業種の垣根が崩れ、オープンイノベーションが進む中、 中小・ベンチャー企業が優れた技術を活かして飛躍するチャンスが拡大。 せっかく取得した特許で大切な技術を守れるよう、訴訟制度を改善する。
優良な顧客体験が競争力の源泉として重要性を高める中、 デジタル技術を活用したデザイン等の保護や、ブランド構築のため、 意匠制度等を強化する。
② 関連意匠制度の拡充 長期に亘り、一貫したコンセプトに基づき
開発されたデザインを保護可能とする。
建設物の外観・内装デザイン 例1)クラウド上に保存され、ネットワークを通じて提供される画像
例2)道路に投影された画像
物品に記録・表示されていない画像 例3)内装デザインによるブランド構築
(auショップ池袋西口駅前店)
特徴的な形状のテーブルやカウンター等を用い、 それらの特徴が際立つ形で、全体的にオレンジ と白の2色のみによる効果的な色彩を施し、 統一感を実現している点が特徴。
判 決
訴 訟 提 起
侵 害 の 有 無 判 断
損害額の審理侵害の有無の審理
• 本意匠の出願から10年以内であれば登録可 (これまでは8か月程度)
• 関連意匠にのみ類似する意匠であっても登録可 本意匠
関連意匠
新たに登録可
アテンザ (2014年)
アテンザ (2012年)
アテンザ (2018年)
1.特許訴訟制度の充実
特許侵害の特殊性 侵害が容易(特許は公開、物理的に盗む必要なし) 立証が困難(証拠は侵害者側に偏在) 侵害を抑止しにくい(刑事事件の起訴なし) ⇒ 「侵害した者勝ち」にならないよう配慮が必要
② 権利者の生産・販売能力等を 超える部分の損害を認定 (ライセンス料相当額)
中小・ベンチャー企業にも十分な賠償
③ ライセンス料相当額の増額 特許が有効であり侵害されたことが
裁判で認定されたことを 考慮できる旨明記
<損害賠償><証拠収集>
現行の 損害額
侵害品の販売数量
1個当たり 利益
ライセンス料相当額
権利者の 生産・販売能力
① 専門家による現地調査 [査証]
裁判所が中立公正な専門家を選定 侵害が疑われる者の施設へ立入り
【特許法第105条の2等関係】
【特許法第102条関係】 ※実用新案法第29条、意匠法第39条、商標法第38条 においても同様に改正
製品を分解しても分からない、 入手できない等の場合に有効
• 製造方法 • BtoB製品 • プログラム 等
要件は厳格に設定 • 侵害行為の立証に必要 • 特許権侵害の蓋然性 • 他の手段では証拠が十分に集まらない • 相手方の負担が過度にならないこと
秘密保護の仕組みを導入 • 専門家の選定にかかる異議申立て • 報告書中の秘密情報の黒塗り • 専門家の秘密漏洩に対する刑事罰
2.意匠制度の拡充 ① 保護対象の拡充 【意匠法第2条、第8条の2関係】
ABC University
3.商標制度の見直し 公益団体等(自治体、大学等)が
自身を表示する著名な商標について ライセンスを認め、ブランド化を促進
【商標法第31条関係】
【意匠法第10条関係】
• 取り締まりを回避する目的で 侵害品を構成部品に分割して 製造・輸入等する行為も 取り締まれるようにする。
③ その他 意匠権の存続期間を「登録日から20年」から「出願日から25年」にする。 複数の意匠を一括して出願できる制度の導入 模倣品対策
改正後 侵害品を構成するボール部とハンドル部を 分割して製造・輸入等した場合、 一定の要件のもとで、意匠権侵害とみなす。
例4)意匠登録を受けた美容用ローラーボール部
ハンドル部
【意匠法第7条、第21条、第38条等関係】
等
例5)ABC大学の商標
をコップに用いる例
ABC University
※関連意匠の存続期間は、いずれも 本意匠の出願日から25年(改正後)まで