Windpact:衝撃保護技術で特許取得

記事提供:米国特許商標庁(USPTO)

Shawn Springs氏は、米国のナショナル・フットボール・リーグ(NFL)で10年以上選手として活躍した後、Windpact社を設立しました。同社は、技術と応用科学の企業で、衝撃保護ソリューションの分析、設計、実装に特化しています。 (写真提供: © Jay Premack/USPTO)

Windpact 社は、米国バージニア州リースバーグに本社を置く民間企業です。衝撃保護ソリューションの分析、設計、実装に特化した、技術と応用科学の企業で、人々の生活をより安全にする製品を開発しています。主力製品は、ヘルメットや運転席に組み込むことで衝撃エネルギーを吸収・分散する素材「Crash Cloud」です。

同社を設立したCEOのShawn Springs氏はかつて、プロアメリカンフットボールリーグ(NFL)のワシントン、シアトル、ニューイングランドにある各チームでディフェンス・バックとして活躍した経験から、安全性の提供に関心がありました。そこで、NFLから引退後、フットボール選手を外傷性脳損傷から守る方法を研究し始めました。そして、チャイルドシートを製造しているSafety 1st®社に勤務する友人のKen Duffy氏に同社のチャイルドシートに使われている技術について尋ねました。すると、Duffy氏は、チャイルドシートに使用されているパッドをSprings氏に渡し、それで実験してみるように言いました。Springs氏は、アメリカンフットボールの選手は交通事故に連続して遭うような衝撃を受けているのではないかと考え、チャイルドシートの技術をアメリカンフットボールのヘルメットに応用できると考えました。そして、Safety 1st ®社の親会社であるDorel社の幹部らに会い、同社の特許がチャイルドシートにのみ適用されることを知りました。そして、Dorel社の許可を得てこの技術を新しい用途に拡大させることに取組みました。

Springs氏はWindpactという社名を2011年に商標登録し(米国商標登録番号5,281,738)、衝突による影響を緩和するソリューションを見つけることに集中しました。弁理士や同僚の協力を得て、特許(米国特許:8,863,320 B2)を出願し、ヘルメットの保護パッド技術を利用する権利を保護することができました。さらに、Springs氏はこの技術に「Crash Cloud」という名前を付け、商標として登録(米国商標登録番号:5,342,065)しました。その後、2つ目に出願した特許(米国特許10,039,338 B2)は、2018年に発行しました。

Crash Cloud 技術(米国特許:8,863,320 B2)の特許図面の一つ(左)でパッドを立体的に示しています。Windpactのロゴが上部に表示されています。Springs氏(右)が指でパッドを押しつぶし、Crash Cloudがどのように機能するか見せています。(写真提供: © Jay Premack/USPTO)

2014年に特許を取得後、Springs氏は、優秀なエンジニア、デザイナー、科学者で構成される専任のチームを立上げ、衝撃保護や、材料がエネルギーを放散して衝撃保護を改善する方法を研究し始めました。バージニア工科大学のヘルメットラボ(Virginia Tech Helmet Lab)とノースカロライナ州立大学の弾道荷重・構造試験ラボ(Ballistic Loading and Structural Testing Lab at North Carolina State University)の科学者も動員しました。その結果、気流をコントロールする速度や発泡材料の種類を調整することで、Crash Cloudが異なる種類の衝撃を放散し、様々な分野で使えることが明らかになりました。特許取得済みのWindpact Crash Cloudは、圧縮する際にエネルギーを吸収し、衝撃孔からエネルギーを放出した後に急速にバネのように再膨張します。

発泡材料の種類や気流をコントロールする速度を調整することで、Crash Cloudはあらゆる衝撃に幅広く対応可能です。例えば、この技術をヘルメットや自動車の内装(例:ヘッドレストやヘッドライナー)、その他の保護パッドソリューション(例:胸当て、膝当て)等に組み込むことができます。Windpact社の独自のプロセスと技術が製品開発のパラダイムシフトを起こしています。Windpact社の安全技術は邪魔にならず軽量で、適応性があるため、ユーザーのパフォーマンスの妨げになりません。

Windpact社の製品は主に、スポーツ、軍、自動車業界で使われています。現在、同社は製品開発で他社と協業しています。その一例として、Evoshield社製のキャッチャー用ヘルメットとマスク、Hummingbird社製の女性用ラクロスヘルメット、米軍の戦闘用ヘルメット等があげられます。今後は、工業用の保護具や雪上、クリケット、乗馬、自転車、モトクロス等のスポーツ用途にも取り組む計画です。また、自動車の内装材も開発中です。これらの成功を受けて、同社はスタートアップ企業から、今や収益を上げる企業へと成長しました。

Windpact社は、NFL主催の「ヘッドヘルステック・チャレンジⅡコンテスト(HeadHealth Tech Challenge II)」と「NFLファースト・アンド・フューチャー・スタートアップ・コンテスト(NFL 1st and Future Start-up Competition)」でそれぞれ優勝しました。Springs氏は、事業を立ち上げ時点から強固な知的財産戦略に投資することが企業の成功に不可欠であると理解しており、成功している中小企業の起業家のお手本です。