注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

国際出願の早期公開を請求する際の考慮

Q: 国際出願を行いましたが、競合他社が当方の発明と類似した製品を開発中であると聞き、出願の早期公開を請求すべきか思案しています。国際事務局による早期公開を請求する前に考慮すべき点はありますか?また、請求したい場合はどうすれば良いのでしょうか?

A: 国際出願の国際公開は、優先日から18か月を経過した後速やかに行われます (PCT 第 21条(2)(a))。この18か月の期間は、出願を進めるか否かさらに検討する機会を与え、また多くの国内法の実務と一致しています。PCT第 21条(2)(b) に基づき国際出願の早期公開を請求することができますが、請求する前にそれがご自身の関心に沿ったものであるのか慎重に考える必要があります。

早期公開を請求する前に考慮すべき点

国際出願を優先日から18か月より前に公開することで得られる特定のメリットがあります。

  • この実務アドバイスの事例では、競合他社が関連する主題に関する出願を行う前にご自身の出願を公開することで、競合他社の出願の特許性が判断される際に、その公開された出願が先行技術として利用可能となっていることが重要になる場合があります。
  • 早期公開することで、特定の指定 (又は選択) 官庁から、一定の条件下で早期の仮保護が付与される場合があります。仮保護の権利の例として、国内法に基づき、後に特許が付与されることを条件に、先の公開日から発生した侵害に対する特許使用料が支払われることや、侵害製品の製造を停止するよう競合他社に対し停止通告書を送付できるなどの出願人の権利があります。
  • 出願人が一部締約国においてできる限り早急に特許の付与を得たい場合、(国内段階移行する条件ではありませんが) 出願の国際公開が、特定の国内法に基づき国内審査を開始する前提条件となる場合があるため、出願を早期に公開することが望ましいことがあります。
  • 出願人は、宣伝、取引先との交渉、又は投資家を募る目的で、公開された特許出願を引用しやすくなります。

一方、早期公開の請求を行う前に考慮すべき潜在的なマイナス効果もいくつかあります。

  • 国際出願の早期公開は、特定の重要な意思決定プロセスを早め初期段階で行うことになります。早期公開の請求がなければ、国際公開の技術的準備が完了する前であれば、公衆に出願内容を開示せずにいつでも出願を取り下げることが可能です (PCT規則90の1(c) 参照)。例えば、特許を取得する可能性が低そうであり、且つ内容をまだ機密にしておきたい場合、発明をさらに発展させ、出願は後で行いたい場合、又はその特定のイノベーションには企業秘密の保護がより適切だと考える場合などです。つまり、一度国際公開が行われると元に戻すことはできず、その後出願を取り下げたとしても、出願は公開されたままとなります。したがって、早期公開の請求を検討する場合は、出願の状況を慎重に判断して下さい。
  • 早期公開により、市場の競合他社が、特許権侵害のリスクを回避するため、又は公開された技術をさらに発展させるため、より早い時期から出願中の特許を考慮して技術設計する可能性があるかもしれません。

考慮すべき他の関連点

早期公開の請求を決めたら、請求を行う前後に他の関連する手続上の問題の検討が必要な場合もあります。以下にそのような問題の例を挙げます。

国際公開に反映すべき書誌情報の変更はありますか? 変更があれば、例えば、PCT規則92の2に基づく変更の記録の請求は、早期公開の請求を行う前に提出する必要があります。

国際出願の方式上の欠陥を補正する必要はありますか? 早期公開のための技術的準備が完了した後であっても受理官庁が定めた期間内に補正を提出した場合、その補正は早期公開には反映されず、再公開の対象となるでしょう。

PCT規則26の2.1(a) に基づく優先権主張の補正又は追加を行う必要はありますか? そのような補正/追加は、早期公開を請求する前に行って下さい。そうでなければ、早期公開の請求が技術的準備の完了前に取り下げられない限り、補正/追加の請求は提出されなかったものとみなされます (PCT規則26の2.1(b) 参照)。

寄託された生物試料への言及を含めたいですか? これらも早期公開の請求を行う前に提出する必要があります (PCT規則13の2.4(c) 参照)。

早期公開の請求方法と適用される手数料

国際出願の早期公開の請求は、直接国際事務局 (IB) に提出する必要があります (PCT第21条(2)(b) 及びPCT規則48.4参照)。請求するには、高度な認証有りか無しのePCT経由で、国際出願の早期公開を請求する署名付きの書簡をアップロードするか、或いは高度な認証を用いた出願へのアクセスがあれば、ePCTアクション機能の「早期公開請求」"Request for Early Publication" を完了することです。

早期公開の請求が提出され、国際調査報告若しくはPCT第17条(2)(a) に基づく宣言が国際出願に併せて公開用にまだ利用可能となっていない場合には、公開が行われる前に200スイスフランの特別公開手数料の支払が必要となります (PCT規則48.4(a) 及びPCT実施細則第113(a) 号参照)。この手数料は、国際調査報告若しくは宣言を受け取った後に個別に公開する際の費用に充てられます。一方、報告がすでに提供されている場合は、手数料の支払は必要ありません (PCT規則48.4(a) 参照)。

早期公開請求の結果

公開は直ちに行われるのではありません。IBが早期公開の請求を、適用される場合はPCT規則48.4(a) に基づく手数料と併せて受け取った後、国際公開は (該当する場合) 翻訳文と技術的準備の完了次第、速やかに行われます。出願人はその後IBから様式PCT/IB/345経由で公開予定日が通知されます。平均すると、早期公開の請求日から4週間から8週間以内にIBによる準備作業が完了すると考えていいでしょう。特別公開手数料が発生しており、それが未払であれば出願人はIBから手数料の支払を求められ、その間は請求は処理されません。

出願人の皆様にはePCTを利用して出願状況をご確認いただきますようお勧めいたします。ePCTの該当する出願のページ上部にある「タイムライン」"timeline" のリンクは、主要なPCT期日や国際出願の期限の一覧表を提供しています。個別の出願に関するご質問は、出願を担当するオペレーションチームにお問い合わせ下さい。