国際事務局はPCTの期間の徒過についての許容規定を新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の世界的流行に対して適用すると解釈、PCT官庁に対応を勧告

2020/04/09

新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) の世界的流行に伴う解釈声明及び特許協力条約 (PCT) に関して推奨される実務対応

世界知的所有権機関 (WIPO) 国際事務局

 

  1. WIPO国際事務局の見解においては、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) による混乱・途絶が世界的に生じている現在の状況に対しては、特許協力条約 (PCT) に基づく規則 (PCT規則) の 規則82の4.1 の規定が適用される。WIPO国際事務局は、全てのPCT官庁及び国際機関に対して、同様にこの解釈を用いるよう勧告する。

  2. 当該規則では、不可抗力の事態 (「戦争、革命、市民暴動、同盟罷業、天災…その他これらに類する事由」) によりPCTで定められる期間 (書類の提出及び/又は手数料の納付に関するものを含む) が遵守されなかったことによる遅滞について、許容が規定されている。WIPO国際事務局は、今般の感染症の世界的流行 (パンデミック) は、「天災…その他これらに類する事由」に該当する事由であると解されるべきであるという立場をとる。1

  3. WIPO国際事務局並びに受理官庁としての国際事務局は、新型コロナウイルス感染症 (COVID-19) 関連の問題を理由としてPCT 規則82の4 に基づきなされる請求を優遇し、関連当事者の居住地が影響を受けたことを立証する証拠の提出を求めない。WIPO国際事務局は、PCT官庁及び国際機関に対して、同様の対応を行うよう勧告する。

  4. PCT 規則82の4.1 に関して認識されている制限の一つに、所定の期間内に所定の手数料が支払われなかったことなどを理由に国際出願が取り下げられたものとみなされた旨の宣言がなされたことで (PCT 条約第14条(3)(a) 参照)法的効果を失った国際出願に関しては、この規定による救済措置が適用されないという側面がある。2 3  このため、WIPO国際事務局では、かかる通知 (様式 PCT/RO/117) の一切について、2020年5月31日まで発行を延期することとし、また、WIPO国際事務局は、全てのPCT受理官庁に対して、同様の対応を行うよう勧告する。

  5. さらに、WIPO国際事務局は、

    1. さらに少なくとも1か月の間 (さらなる延長の可能性も含む)、かかる通知は、その前2か月にわたり期限を過ぎていた場合に限り発行されること、及び
    2. 受理官庁は、PCT規則16の2.2 に規定される後払手数料を免除することを推奨する。

[フランシス・ガリ事務局長による署名]

1.この規則の適用を受けるためには、出願人は通常、合理的にできる限り速やかに適切な措置をとったことに加えて、該当する期間の満了の後6か月以内に請求先官庁に対して証拠を提出することが求められる。期間が遵守されなかったことによる遅滞が同規則に従って許容されるか否かの決定は、当該官庁の判断によりなされる。

2.PCTの法的枠組みの中では、国際段階で法的効果が消滅したPCT出願の権利回復規定は設けられていない。

3. 出願手数料又は調査手数料を換算額で支払う出願人については、所定の手数料は、出願の最初の出願日において効力のあったPCTニュースレターに掲載されている換算額である。