PCTニュースレター 12/2020: 実務アドバイス
注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。
国際出願の提出に関連する費用: WIPO オンライン上の PCT 関連資料を利用して必要な手数料を調べる
Q: 当方は初めて国際出願の提出を検討しています。できれば出願する前に、PCT 手数料がいくらになるのか知りたいと思っています。どんな方法で PCT 手数料を調べることができますか?
A: 最初に、出願人が ePCT 出願を利用して PCT 出願の提出を予定している場合には、ePCT で必要な情報を全て入力すると、出願を提出する前に、システムが手数料を即時に計算してくれます。当該システムでは、出願人にとって手数料計算が複雑になり得る全ての不確定要素を考慮して計算を行います。詳細は、以下のリンクから、PCT ニュースレター 2020 年 11 月号に掲載された実務アドバイスをご参照下さい。
/pct/ja/newslett/2020/11_2020.pdf#page=8
次に、ePCT 出願を利用して PCT 出願する予定のない場合や選択した受理官庁が ePCT 出願を受理していないため ePCT 出願ができない場合もあるでしょう。PCT ウェブサイト上のさまざまな関連資料には、国際出願の提出時に支払う手数料や、特許取得を求める国に国内段階移行する際に支払う手数料の情報も掲載されています。
国際出願時に支払う主な手数料は、以下のリンクの PCT 手数料表から調べることができます。
/pct/en/fees.pdf
また、PCT 出願人の手引の附属書には、各官庁ごとに、出願時に支払う手数料、国際段階期間の特定の状況において支払う他の手数料や、国内段階期間に支払う手数料 (国内手数料) が記載されています。附属書では、関係する官庁の要件やその他の特別な要件に関するより詳細な情報も提供しています。以下のインデックスのリンクからご利用下さい。
/pct/ja/guide/index.html
なお、PCT 手数料表は月次で更新されるのに対し、PCT 出願人の手引(訳者注:英語オリジナル版のPCT 出願人の手引について)は通常、変更がある場合には、週次で更新される点にご留意下さい。
PCT 関連資料を調べる前に、国際出願時に必ず支払うべき手数料は何か、そして特定の状況に限って支払う手数料は何かを知っておく必要があるでしょう。出願時に支払うべき主な手数料は、PCT 手数料表と PCT 出願人の手引の関連する附属書のどの箇所に記載されているのかを、以下に説明します。
PCT 手数料表の表 I(a) と PCT 出願人の手引、附属書 C
以下に記載する手数料 (そして電子出願する場合には電子出願手数料の減額) は、PCT 手数料表の表I(a) の 1 列目に列挙されている各受理官庁 (RO) の横の列に表示されています。留意する点としては、PCT 規則 19 の規定の下、出願人がその居住者と国民である両方又はいずれかの締約国の国内官庁又はその締約国のために行動する国内官庁に対して、あるいは受理官庁としての国際事務局 (IB) に対して、国際出願を提出する資格があるという点です。もしも出願人が、居住している国とは異なる国の国民である場合、あるいは受理官庁としての広域官庁に対して出願する資格があるのであれば (PCT 出願人の手引の附属書 C (「受理官庁」) では、各受理官庁ごとに、受理官庁として行動する資格を有する国、国民と居住者を記載しています)、受理官庁に関してより多くの選択肢がある可能性があります。
送付手数料 (PCT 規則 14) - この手数料は (手数料表の 2 列目)、適用される場合1、国際出願を提出する受理官庁に対して支払い、額は受理官庁によって異なり、通常は現地通貨で支払います。
国際出願手数料 (PCT 規則 15) には、30 枚を超える出願の用紙一枚ごとに生じる手数料2が含まれます。- この手数料 (手数料表の 3 列目と 4 列目) は、IB のために受理官庁が徴収し、受理官庁が定める通貨、又は複数の通貨のうちの一つで支払います。受理官庁が認めるスイスフラン以外の通貨による換算額は、為替レートの変動により変更が生じることがあります。
電子出願による減額 - 5 列目から 7 列目には、PCT 規則に附属する手数料表の項目 4(a)、(b) 及び (c)に定められた電子形式のいずれかで国際出願を提出する場合に(/pct/en/texts/rules/rtax.html#_S)、該当する国際出願手数料の減額の額が表示されています。出願人の選択する出願形式は、出願先の受理官庁が受理可能な電子出願の形式によることになります (関係する各受理官庁が受理する電子出願形式の詳細は、PCT 出願人の手引の附属書 C の該当箇所に記載されています)。スイスフラン以外の通貨による減額の額も、適用される為替レートの変動により変更が生じることがあります。
上述した手数料と減額は、PCT 出願人の手引、附属書 C の該当箇所にも記載されています。また、特定の状況で受理官庁に対して支払う場合のあるその他の手数料には、例えば、優先権書類の送付にかかわる手数料 (国際出願においてその優先権が主張されている、先の出願の認証謄本を IB に送付するよう受理官庁に請求する必要のある場合に支払う手数料)、又は PCT 規則 26 の 2.3(d) に基づく優先権の回復請求にかかわる手数料があります。
PCT 手数料表の表 I(b) と PCT 出願人の手引、附属書 D
調査手数料 (PCT 規則 16) - まず、国際出願について、どの機関が国際調査機関 (ISA) として管轄し、行動できるのかを確認する必要があります。選択可能な ISA は、表 I(a) の出願人の選択した管轄受理官庁に該当する行の右端に記載されています。調査手数料は、ISA のために受理官庁によって徴収され、その手数料額は当該 ISA により自国の通貨で定められています。したがって調査手数料の換算額は、管轄 ISA として関係官庁を特定した受理官庁によって認められた所定の通貨により設定されます。各 ISAに支払う該当する調査手数料の額と、その他の適用される通貨による換算額は、手数料表の表 I(b) やPCT 出願人の手引、附属書 D の該当箇所に表示されています。一部の ISA は、調査が行われる言語によって異なる料金を請求している点にご留意下さい。また、手数料の減額を提供している ISA もあり、それについては後ほど説明します。特定の状況下では、調査手数料以外にも ISA に支払う他の手数料として、追加調査手数料や異議申立手数料等があります。詳細は PCT 出願人の手引、附属書 D をご参照下さい。
送付手数料 (僅少の例外を除いて)、国際出願手数料と調査手数料の支払は必ず要求され、受理官庁が出願を受理してから 1 カ月以内に支払う必要があります。
PCT 手数料表の表 I(c) と II、PCT 出願人の手引、附属書 SISA と E
特定の状況下では、その他の手数料の支払も必要な場合があります。例えば、PCT 規則 45 の 2 に基づき出願の補充国際調査の請求を決めた場合、補充調査手数料と補充調査取扱手数料を支払わなければなりません (表 I(c) 又は PCT 出願人の手引、附属書 SISA の該当箇所参照)。また、PCT 規則 53 に基づき国際予備審査請求を行う場合には、予備審査手数料と取扱手数料を支払う必要があります (表 II 又はPCT 出願人の手引、附属書 E の該当箇所参照)。状況によっては、他の手数料も要求されることがあります。詳細は、それぞれ附属書 SISA と E をご参照下さい。
PCT 出願人の手引、国内編
PCT 出願を進めたい国を決定した後は、国内段階移行時に各国内官庁に対して国内手数料を支払わなければなりません。この手数料は関係官庁によりますが、いくつかの手数料から構成されていることがあります。国内段階において指定 (又は選択) 官庁が要求する手数料の詳細は、PCT 出願人の手引の該当する国内編をご参照下さい。
手数料減額又は払戻しの可能性
上述したように、出願が電子形式で提出される場合、国際出願手数料は減額されることがあります。一方、多くの受理官庁は送付手数料を減額したり、ある ISA/IPEA は調査手数料や予備審査手数料を減額したり、またオンライン出願であれば国内手数料を減額する指定 (又は選択) 官庁も多くあります。
状況によっては、その他の手数料減額も適用されることがあり、以下に説明します。
出願人の国籍や居住地に基づく手数料減額国際出願に記載された全ての出願人が所定の国の国民や居住者である場合、国際出願手数料、補充調査取扱手数料と取扱手数料の減額が利用できます。詳細は、以下のリンクの表をご覧下さい。
/pct/en/fees/fee_reduction_january.pdf
加えて、多くの官庁は、所定の国からの出願人を対象として、送付手数料や、調査手数料と予備審査手数料の全て又はいずれかの減額を行っています。
出願人のカテゴリーに基づく手数料減額一部の官庁は、例えば小企業、学術機関や政府機関といった所定のカテゴリーに帰属する出願人に対し、送付手数料、調査手数料と予備審査手数料、並びに国内手数料の全て又はいずれかの減額を行っています。
先の調査結果が利用可能な場合の減額又は払戻し先の調査や審査の結果を官庁が利用できる場合には、一部の官庁は減額、払戻し又は部分的な払戻しを行います。例えば、一部の IPEA には、ISA としての当該機関が国際調査報告を作成していた場合、低額した予備審査手数料を徴収しているところもあります。
補充国際調査 (SIS) の範囲が限定される場合の手数料低額補充国際調査の請求を決めた場合で、出願人が選択した機関においてより限定的な SIS を選択することが可能な場合には、調査される収録文献の範囲に合わせて異なる料金が適用されるため、手数料は低くなるでしょう。
国内手数料の免除、減額又は払戻し多くの国内 (又は広域) 官庁はさまざまな状況において国内手数料の減額を行っています。例えば特定のカテゴリーの出願人による出願や、所定の国際機関により国際調査や予備審査が実施された場合です。
国際出願の提出時に手数料減額の資格があるのかどうかを調べるには、手数料表の該当する注釈をご参照下さい。国際段階と国内段階における全ての減額や払戻しについては、PCT 出願人の手引、附属書C、D と E 並びに国内編の該当箇所をご参照下さい。
PCT 手数料の追加情報PCT 手数料に関する追加の一般情報は、以下のリンクから、PCT 出願人の手引、5.184 項から 5.199 項をご参照下さい。
/pct/en/guide/ip05#_fees
PCT 制度の手数料や支払についてまとめたウェブページでは、その他の手数料関連情報へのリンクを提供しています。以下のリンクから、ウェブページをご覧下さい。
/pct/en/fees/index.html