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共通の代理人が選任されていない場合の、願書様式における出願人の記載順の重要性

Q: 私は中国の国民で居住者である出願人です。もう一人の中国の国民で居住者の者と共に、代理人を通して受理官庁としての中華人民共和国国家知識産権局(RO/CN)に国際出願をしました。しかし、その代理人は選任を放棄してしまい、本出願について代理人がいなくなりました。当方は PCT 出願に経験が浅いので、新たに代理人を選任したいと思っています。ところが、共同出願人は当方の選んだ代理人には賛同せず、他の代理人を選任したい意向です。それぞれ別々に 2 人の代理人をたてることは可能でしょうか。もし可能なら、どちらの代理人が本国際出願に関して行動を取る資格があるのでしょうか。

A: "共通の代理人"として複数の出願人を代表して同じ代理人1を選任する方が一般的に便利であり費用を抑えることもできますが、国際出願において、共同出願人により選任された代理人ではない代理人を選任することは可能です。しかし、本出願に関し行動を取る資格がある"記録された代理人"としてみなされるは一人のみであることにご注意ください。主となる代理人とみなされる代理人は、貴殿あるいは共同出願人のどちらの出願人が共通の代表者としてみなされるのかにより決定されることになります。

もし何れの出願人も、他方の出願人によって国際出願のための共通の代表者として選任されていないのであれば、PCT 規則 19.1 に従い、国際出願が提出された受理官庁に対して国際出願をする資格がある、願書様式に最初に記載された出願人が共通の代表者としてみなされる("みなされた共通の代表者")ことが PCT 規則 90.2(b)に規定されています。本件では双方が RO/CN に出願をする資格があるので、みなされた共通の代表者は、願書様式に最初に記載された方になります。もし貴殿が最初に記載されているのでしたら、貴殿がみなされた共通の代表者となり、貴殿が選任した代理人が記録された代理人とみなされます。一方、もし共同出願人が最初に記載されていれば、共同出願人がみなされた共通の代表者となり、共同出願人により選任された代理人は、共同出願人の代わりに行動する資格があります。何れにせよ、出願手続を行なう人は、PCT の手続きを十分理解していることが大変重要ですので、貴殿および共同出願人が、本国際出願のための代理人をできるだけ早く選任することを強くお勧めします。

出願人の中には願書様式に記載する出願人の順番が重要であると認識していない方もいます。もし、出願のためのみなされた共通の代表者として意図しない者を最初に記載してしまったのであれば、PCT 規則 92の 2 に基づく変更の記録の要請をすることによって変更できます。しかし、そのような要請の性質により、その時点で最初に記載された出願人の同意(例えば、その要請に署名をすることによって)が必要となります。

貴殿が願書様式に最初に記載された出願人であり、(貴殿が RO/CN に対して国際出願をする資格があることを考慮し)みなされた共通の代表者であると仮定した場合であっても、次のことに注意することが必要です。PCT 規則 90 の 2 に基づくいかなる取下げに関しても、取下げ通知において共同出願人又は共同出願人の選任した代理人によっても署名されなければ、貴殿も貴殿が選任した代理人も当該取下げの効力を生じさせる資格はありません(PCT 規則90 の 2.5)。しかし、貴殿又は貴殿の代理人は、PCT 第 19 条に基づく補正の提出、国際予備審査請求書の提出、PCT 規則 92 の 2 に基づく変更の記録の要請(上記パラグラフに言及された例外を参照)のような他の行動は、他の出願人の署名を必要とせず行う資格があります。

  1. 複数の代理人を一つのグループとして選任する場合もある