PCTニュースレター 05/2018: 実務アドバイス
注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。
どの指定官庁が実用新案による保護を提供するかを知る方法と、国際出願に関してそのような保護を請求する方法
Q: まもなく国際出願を提出する予定でおり、実用新案による保護の取得を希望しています。どの指定官庁がそのような保護を提供しているのかを知る方法を教えてください。また当方の出願がそれらの国々において実用新案出願として取り扱われるにはどのように請求すればよいのでしょうか?
A: 先月号の"実務アドバイス" (PCT Newsletter 2018年4月号) で掲載されました実用新案による保護のメリットとデメリットについての説明を思い起こしてください。実用新案による保護は851 のPCT締約国で利用可能です。それらは、特定の国内官庁により付与される国内の実用新案として、若しくはアフリカ広域知的所有権機関(ARIPO) 又はアフリカ知的所有権機関(OAPI) により付与される実用新案としての保護です。いくつかの官庁は特許に代わる代替手段としてのみ実用新案による保護を提供しますが、多くの官庁では特許による保護に加えて、出願人に実用新案による保護を請求することを許容しています。これは特許の付与を待つ間に実用新案による保護を取得したい場合に有用になり得ます。実用新案による保護を取得可能なPCT締約国に関する情報は、以下のリンク先から、"Types of Protection Available via the PCT in PCT Contracting States" の表をご覧ください。
www.wipo.int/pct/en/texts/pdf/types protection.pdf
実用新案による保護の請求に関して、PCT願書様式(様式PCT/RO/101) の提出は、PCT規則4.9(a) に基づき、全ての種類の保護の付与のために(また、該当する場合には、広域特許及び国内特許の両方の付与のために)、国際出願日にPCTに拘束される全ての締約国を指定することを構成します。これは、特許の代わりに(若しくは、該当する場合には、特許に加えて) 実用新案による保護(若しくは他の取得可能な代替手段による保護2) の請求を希望する場合には、国際段階の期間中はいずれの行為も行う必要がないことを意味します。実際、国際段階の期間中に特定の種類の保護を請求するための規定はありません(しかし、特定の国の指定に関する限り特定の種類の保護を取り下げることは可能です)。なお、出願が追加特許、追加証、追加発明者証若しくは追加実用証(PCT規則4.11(a)(i))、若しくは先の出願の継続出願若しくは一部継続出願(PCT規則4.11(a)(ii)) として取り扱われることを希望する場合の状況と混同されませんようご留意ください。これらの場合には、願書にはその旨の記載が求められることがあります。
PCT第43条3が適用される指定(又は選択) 国において、特許の付与を求める出願ではなく、実用新案の付与を求める出願として国際出願が取り扱われることを希望する場合、若しくはPCT第44条に従い、二種類以上の保護を求める(これが可能な範囲で) 出願として国際出願が取り扱われることを希望する場合、通常は国内(又は広域) 段階へ移行するためにPCT第22 (又は39) 条に規定する必要な行為を行う時に、当該官庁に対し貴殿の選択する保護を表示すべきです(PCT規則49の2.1(a) 参照)。しかしながら、当該行為を行う必要がある時期は適用される国内法令によって異なる場合があります。いくつかの指定(又は選択) 官庁は貴殿の選択する保護を後から表示することを許容しています(PCT規則49 の2.2(b))。二種類以上の保護を求める場合には、主として求める保護の種類を表示することも求められることがある点にご留意ください(PCT規則49の2.1(b) 参照)。
PCT第22条に規定する行為を行う時に、実用新案による保護の申請を希望する旨を明示的に表示しない場合には、指定官庁は特許を求める出願として取り扱うでしょう。しかしながら、そのような明示的な表示をしない場合であっても、出願人により支払われる国内手数料が実用新案を求める国内手数料に相当する場合には、当該手数料の支払いは国際出願が実用新案を求める出願として取り扱われることを希望する旨の表示とみなされ、指定官庁はその旨を通知するでしょう(PCT 規則49 の2.1(e))。
いくつかの官庁は、実用新案を求める出願に関して、国内段階への移行を請求するために使用される特定の様式を有している場合がある点にご留意ください。そのような様式を使用することをお勧めいたしますが、PCT規則49.4に規定するように、その使用は義務ではなく、出願人はPCT第22条に規定する行為を行う時に国内様式を使用することを要求されません。
一の特定の種類の保護を請求する場合であっても、多くの官庁はその後、一の種類の保護を他の種類の保護へ変更することを許容するでしょう(PCT規則49の2.2(b) 参照) (例えば、実用新案出願(又は実用新案) から特許出願(又は特許) への変更、若しくはその逆)。これはしかしながら、特別手数料の支払い対象になる場合があります。当該変更は通常、出願人によって行われますが、いくつかの官庁は該当する場合、職権により出願を変更することがあります。
異なる種類の保護の請求に関する指定官庁の特定の要件について、また一の種類の保護を他の種類の保護へ変更することについての詳細は、PCT出願人の手引の関連する国内編をご参照ください。以下のリンク先からご利用いただけます。
www.wipo.int/pct/ja/appguide/