PCTニュースレター 04/2013: 実務アドバイス
注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。
更なる手続きのため国際出願が管轄外の受理官庁により受理官庁としての国際事務局に送付された場合にとられるべきアクション
Q: PCT に基づく国際出願をしましたが、受理官庁が国際出願の受理を管轄しないとして、更なる手続きのために、国際出願は受理官庁としての国際事務局に送付された旨通知がありました。何かすべきことはありますか?
A: 国際出願が PCT 受理官庁として行動する官庁にされ、その官庁が出願人の国籍や住所、出願のなされた言語、または国内官庁と国際事務局(IB)間の合意による他の理由で、その国際出願の受理を管轄しない場合は、PCT 規則 19.4 に基づくセーフガードの手続きが適用されます。その手続きに基づき、その出願は、国際出願日の認定に関する PCT 第 11 条に規定された要件が満たされていることを条件に、管轄外の官庁での受理日はそのまま維持されて国際出願日と認められ、受理官庁としての IB(RO/IB)に送付されます。IB がすべてのPCT 締約国の居住者及び/または国民のために受理官庁として行動し、RO/IB がすべての言語の国際出願(必要に応じ翻訳書の提出が条件。以下を参照。)を受付けることは PCT の大変便利な特徴です。
国内(広域)官庁は、RO/IB への国際出願の送付に関して、送付手数料に等しい手数料を請求することができます(PCT 規則 19.4(b))が、すでに支払われた国際出願手数料及び調査手数料のような手数料は、国内官庁により払い戻され、出願人は RO/IB に対して所定の手数料(送付手数料を含む)を支払わなければなりません。
当該国際出願を受理したら、RO/IB は当該出願に新規の PCT 出願番号(PCT/IB…./…..)を付与します。手数料の支払いに関して、支払いのための1ヶ月の期限の開始日である国際出願の受理日は RO/IB が実際に受理した日とみなします(管轄外の官庁での受理日ではありません-PCT 規則 19.4(c)を参照)。したがって、結果的に出願人は RO/IB から通知を受けることになるので、RO/IB から送付される新規の出願番号の通知や受理官庁によって通常発行される通知(例えば、所定の手数料の支払いに関する通知、国際出願日の認定、欠陥の補充の求めなど)を受ける前に一般的にいかなるアクションもとる必要がありません。このとき、例えば、管轄外の受理官庁での予納口座からの引き落としから、RO/IB での ePaymentへというように、手数料の支払い方法を変える必要があります。
RO/IB は、出願人が代理人により代理されることを要求していませんが、もし代理人がすでに指名されている場合は、その代理人は、RO/IB に対して業として手続きをとる権能を有するために、出願人が居住者又は国民である締約国の国内官庁、又はその締約国のために行動する国内官庁に対して業として手続きをとる権能を有していなければいけません(PCT 規則83.1 の 2)。例えば、もしある米国の代理人が、住所や国籍がブラジルである出願人の代理で、まちがって受理官庁としての米国特許商標庁(USPTO)に国際出願を出願した場合、この代理人は国立工業所有権機関(ブラジル)に対して業として手続きをとる権能を有さないかもしれず、もしそうであるなら、RO/IB に対して業として手続きをとる権能を有さないことになります。そのような代理人の立場は、RO/IB によって職権により通信のための特別な住所へと変更され(PCT 規則 4.4(d))、そして、その代理人は国際出願に関する支払いはできますが、当該出願に関する出願人の代理で行動する権能を有さず、単に当該出願に関する通信を受け取るのみとなります。(通信のための特別な住所に関する詳細は、PCT Newsletter2002 年 7 月号を参照)。そのような場合において、出願人は RO/IB に対して行動する権能を有する新たな代理人を選任するか、さもなければ、出願人からのいかなる通信も少なくとも共通の代表者と考えられる出願人によって署名される必要があります(PCT 規則 90.2(b))(すべての出願人による署名が必要な取下げ以外(PCT 規則 90 の 2.5))。
IB が受理官庁の場合、管轄国際調査機関は、出願が管轄国内/広域官庁に出願されたとしたならば管轄したであろう国際調査機関(ISA)となります(PCT 規則 35.3)。もし、国際出願で選択した ISA が管轄外ならば、管轄する他の ISA を選択する必要があります(一つ以上の管轄 ISA がある場合-もし唯一の ISA が管轄する場合は不要)。上記の例において、ブラジルの出願人が誤って USPTO に出願した場合でも、ISA として USPTO を選択可能です。なぜなら、受理官庁としての国立工業所有権機関(ブラジル)は、USPTO を管轄 ISA として特定しているからです。
国際出願は RO/IB にいかなる言語でも出願することができます(願書を除き、PCT に基づく10 の公開言語(アラビア語、中国語、英語、仏語、独語、日本語、韓国語、ポルトガル語、ロシア語あるいはスペイン語)の一つの言語で出願しなければなりません)が、もし明細書と請求の範囲の言語が国際調査を行う ISA により認められていないのであれば、RO/IB が国際出願を受理した日から一ヶ月以内に、ISA により容認され公開言語でもある言語での翻訳文を RO/IB に提出することが求められます。(PCT 規則 12.3)
なお、PCT-SAFE のような e-filing ソフトを利用すれば、出願を提出する前に警告メッセージを受け取るので、管轄でない受理官庁に間違って出願することが避けられます。
RO/IB に出願する場合の更なる詳細については、以下のウェブサイトをご参照下さい:
http://www.wipo.int/pct/en/filing/filing.html