注意: 以下の情報は PCT ニュースレターに当初掲載された時点では正しいものでしたが、一部の情報はすでに適用されない可能性があります。例えば、関係する PCT ニュースレターが発行されて以降、PCT 規則、実施細則、そしてPCT 様式に修正が行われた可能性があります。また、特定の手数料の変更や特定の出版物への参照は、すでに有効ではない場合があります。PCT 規則への言及がある場合は常に、実務アドバイスの掲載日に施行されている規則がその後修正されていないか慎重にご確認下さい。

PCT-PPH が出願人の ISA/IPEA 選択に影響を与える度合い

Q: 国際出願を予定しており、国籍及び住所がインドであるため、管轄受理官庁はインド特許庁です。よって、国際調査機関/国際予備審査機関について、オーストラリア特許庁、オーストリア特許庁、欧州特許庁(EPO)、中華人民共和国国家知識産権局(SIPO)、スウェーデン特許登録庁、米国特許商標庁(USPTO)、といった多くの選択肢があります。国内段階で早期審査の手続を行うため、国内段階移行における PCT-特許審査ハイウェイ(PCT-PPH)試行プログラムのメリットを享受したいと考えており、これらの国際調査機関のうちいずれの場合、PCT-PPH による早期審査を請求できる可能性があるでしょうか?

A: (本記事掲載時点で)次の特許庁(このケースにおいて国際調査機関として選択可能な機関のうち)が、国際調査機関の書面による見解(又は国際予備審査機関の書面による見解又は特許性に関する国際予備報告(第 II 章))において肯定的な結果が得られた場合であって、他の要件を満たしている場合に、PCT-PPH を提供しています。

  • オーストラリア特許庁:USPTOとPCT-PPH試行プログラムを実施しています。よって、オーストラリア特許庁を国際調査及び/又は国際予備審査機関として選択した場合、USPTO に対し、国内段階での早期審査を請求することができるでしょう。
  • オーストリア特許庁:フィンランド国立特許・登録委員会及び USPTO と PCT-PPH 試行プログラムを実施しています。よって、オーストラリア特許庁を国際調査及び/又は国際予備審査機関として選択した場合、フィンランド国立特許・登録委員会及び/又はUSPTO に対し、それぞれの国内段階での早期審査を請求することができるでしょう。
  • EPO:日本国特許庁(JPO)及び USPTO と PCT-PPH 試行プログラムを実施しています。よって、EPO を国際調査及び/又は国際予備審査機関として選択した場合、JPO 及び/又は USPTO に対し、それぞれの国内段階での早期審査を請求することができるでしょう。
  • USPTO:オーストラリア特許庁、オーストリア特許庁、EPO、フィンランド国立特許・登録委員会、JPO、韓国知的所有権庁、連邦知的財産権特許商標行政局(ロシア連邦)及びスペイン特許商標庁と PCT-PPH 試行プログラムを実施しています。よって、オーストラリア特許庁を国際調査及び/又は国際予備審査機関として選択した場合、上述の官庁に対し、それぞれの国内段階での早期審査を請求することができるでしょう。

SIPO 及びスウェーデン特許登録庁を国際調査及び/又は国際予備審査機関として選択した場合、現在実施されているいずれの PCT-PPH 試行プログラムも利用することができません。しかしながら、PCT 成果物を含まない通常の PPH 合意が多く存在しています。よって、他国と通常の PPH 合意を締結している国の国内段階に移行した場合、その国の国内段階の審査で得られた肯定的な審査結果に基づいて他国での PPH 手続による早期審査を利用することができるケースがあります(訳者注:PPH 請求の対象出願(第 2 庁への出願)とその PPH請求の基礎となる対応出願(第 1 庁への出願)との関係について特定の要件が定められていますので、対象となる二庁間 PPH の要件を確認する必要があります)。PCT 成果物を含まない PPH 合意に関するさらなる情報は各官庁のウェブサイトをご参照下さい。いくつかについては次のリンクからご覧いただけます。

http://www.wipo.int/pct/en/filing/pct_pph.html

ご覧のとおり、国際調査機関/国際予備審査機関としてUSPTOを選択した場合に、PCT-PPHプログラムによる国内段階の早期審査の利用できる可能性が最も大きくなります。しかしながら、国際調査機関/国際予備審査機関の選択に際して、他の考慮すべき要素がある点を心に留めておくべきです。すなわち、

  • 国際調査機関/国際予備審査機関が国際調査又は国際予備審査を実施するための手数料(手数料の減額又は払戻しの可能性も考慮) -様々な国際調査機関/国際予備審査機関に支払う手数料について、適用される減額又は払戻しと同様、その詳細は PCT 出願人の手引きの Annex D 及び E の関連ページをご覧下さい。

http://www.wipo.int/pct/en/appguide/index.jsp

  • 特定の国際調査機関/国際予備審査機関が国際調査及び国際予備審査を実施した場合に国内段階の審査で利用できる手数料の免除、減額又は払戻し -その詳細は PCT 出願人の手引きの国内段階の概要をご覧下さい。
  • 国際出願の言語 -選択した国際調査機関/国際予備審査機関が認めていない言語で国際出願を行う場合には、翻訳費用が発生します(本ケースの場合、国際出願が英語で行われてた場合、上述の国際調査機関/国際予備審査機関はすべて英語で国際調査及び国際予備審査を実施するでしょう)。
  • 国際調査機関/国際予備審査機関が調査を行う用意がある対象(発明) -国際調査機関/国際予備審査機関は PCT 規則 39.1 又は 67.1 に規定されている対象の調査又は審査を要しません。これらの規則の例外の有無に関する情報は、PCT における国際調査及び国際予備審査機関としての機能に関する WIPO 国際事務局との対応する合意で確認することができます。

http://www.wipo.int/pct/en/access/isa_ipea_agreements.html

しかしながら、除外される対象の特別な詳細、及び除外される程度については、該当機関によって適用される国内法令又は広域法令を確認すべきです。

  • 国際調査機関/国際予備審査機関が書面による見解又は特許性に関する国際予備報告(第 II 章)を作成するのに要する期間 -この調査には WIPO ウェブサイトで利用可能である様々な機関の適時性に関する統計が役に立つでしょう。

http://www.wipo.int/ipstats/en/statistics/pct/

また、すべてのPCT-PPHプログラムが試行プログラムの形式で現在実施されている点に注意が必要です(満了期間の詳細はPCT-PPH試行ページからリンクされている関連のウェブサイトをご参照下さい。http://www.wipo.int/pct/en/filing/pct_pph.html)。二庁間の試行プログラムが成功し、実施期間が延長される又は本格実施に移行することになると予想されますが、今、国際出願を行った場合、その出願について国内段階に移行するときまで二庁間でPCT-PPHのプログラムが実施されているかどうか保証するものではありあません。

PCT-PPH 試行プログラムに関するさらなる情報は PCT Newsletter 2010 年 2 月号、6 月号、10 月号、2011 年 1 月号、及び上述の PCT-PPH に関する記事をご参照下さい。