WIPO日本事務所が「知的財産と経営シンポジウム ~特別対談 住友化学 水戸社長を迎えて~」を開催

2026年2月17日、WIPO日本事務所は、「知的財産と経営シンポジウム ~特別対談 住友化学 水戸社長を迎えて~」をオンライン開催しました。

本シンポジウムでは、企業経営における知的財産の戦略的活用に焦点を当て、イノベーション創出や企業価値向上への関心が世界的に高まる中、知的財産が果たす役割について多角的な議論を行いました。企業経営層、知的財産・法務部門、研究開発部門、スタートアップ関係者など幅広い層が参加され、総勢1,001名もの方にリアルタイムでご視聴いただきました。

左側より:水戸 信彰氏(住友化学株式会社 代表取締役社長 社長執行役員)、澤井 智毅(WIPO日本事務所長)

シンポジウムでは、住友化学株式会社 代表取締役社長 社長執行役員の水戸信彰氏を迎え、「知的財産と経営の融合」をテーマに特別対談が行われました。

知的財産部長としての経験を有する経営トップの視点から、知財と経営の本質的な関係について議論が展開されました。冒頭、知財部長の発令にショック、落胆を受けたが、異動するとこれが非常に面白い仕事、ダイナミックで戦略的な仕事との言葉で始まり、事業部門別体制への再編や、研究開発・事業・経営層をつなぐ連携の仕組みづくりなど、知財を経営判断に結びつける組織づくりが紹介されました。あわせて、知財を企業文化として根付かせるための意識醸成や人材育成の重要性にも言及がありました。さらに、企業成長における知財の役割や、ライセンス展開を含む「攻めの知財」の視点、欧米のみならず、南米やアフリカを含むグローバル競争下での知財戦略の必要性についても示唆が共有されました。また、アンチパテントとの発想は今や通用しない、経営層というのは複雑化する知財を如何に戦略に組み込むかとの発言とともに、対談の締めくくりでは、知財は経営の意思決定を支える中核基盤であるとの認識が示され、知財を理解する組織リーダーの重要性が大いに強調されました。

水戸社長との対談に先駆けて、日本貿易振興機構(JETRO)の知的資産部長の齋藤 健児氏が登壇し、日本企業の海外展開における知的財産戦略の重要性について解説しました。各国制度の違いや事業環境を踏まえ、進出先市場に応じた権利取得・活用の在り方や、知財を活用した競争優位性確立の視点について、豊富な支援実績に基づく知見が共有されました。また、国際ビジネスにおけるリスクマネジメントの観点からも、事業戦略と一体となった知財戦略の必要性が強調されました。

続いて、アルプスアルパイン株式会社 弁理士・IPストラテジストであり、日本知的財産協会(JIPA)常務理事を務める 中村 麻紀氏が登壇しました。中村氏は、経営の意思決定インフラとしての知財という考え方を軸に、同社の取り組みを紹介。事業部門との連携強化やデータ活用による知財分析を通じ、経営判断に資する示唆を提供している点を解説しました。また、知財部門が“迷いを減らす”役割を担い、戦略提言機能を発揮していく重要性にも言及し、知財をコストセンターではなく、価値創出を支える機能へと高度化していく具体的な実践が示されました。

続いて、ピラミデ国際特許事務所 代表弁理士の 駒井 慎二氏が登壇しました。講演では、経営戦略と連動した知財活動の重要性について、実務とコンサルティング双方の視点から解説がなされました。とりわけ、AIの進展により知財を取り巻く環境が大きく変化する中、調査・分析、知財戦略立案、権利化、係争対応といった機能を一体的にマネジメントする必要性を指摘し、IPランドスケープを支える基礎的活動の重要性にも言及しました。また、コミュニケーション力・リーガル力・ネットワーク力を兼ね備え、AIも活用できる人材育成の必要性に触れ、知財教育高度化への示唆が共有されました。

上段左側より:落合由佳氏(アナウンサー)、齋藤 健児氏(日本貿易振興機構 知的資産部長)。下段左側より:中村 麻紀氏(アルプスアルパイン株式会社 弁理士, IPストラテジスト/日本知的財産協会 常務理事)、駒井 慎二氏(ピラミデ国際特許事務所 代表弁理士)。 写真:WIPO

本シンポジウムでは、実務家・専門家および経営トップの知見を通じて、企業成長において知的財産が果たす戦略的役割が改めて強調されました。

世界知的所有権機関(WIPO)日本事務所は、今後もイノベーション創出と企業価値向上に資する対話と連携の機会を提供してまいります。

各講演のアーカイブ動画は、イベントウェブサイトにてご覧いただけます。


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