世界知的所有権機関(WIPO)日本事務所は、2026年6月5日、「WIPO GREEN Technology Forum 2026: Featuring Japan’s Innovations for a Sustainable Future ~日本の環境技術で持続可能な未来を共創する~」を開催しました。
WIPOでは、環境技術の普及と国際的な連携を促進するため、WIPO GREENの取り組みを推進しています。
本フォーラムは、日本の企業・大学等が有する先進的な環境技術と、インド・ASEANを中心としたアジア太平洋地域、中東、アフリカ等における具体的な技術ニーズとの国際的なマッチングを促進することを目的として開催されたものです。環境課題の解決に向けた技術移転、ライセンス、共同実証、研究連携など、多様な協業の可能性を探る場となりました。
日本をはじめ、アジア太平洋地域、中東、アフリカなど世界各地から989名もの参加登録をいただき、会場参加者約80名とともに、日本発の環境技術への高い関心が示されました。

開会にあたり、澤井智毅WIPO日本事務所長は、世界の環境課題の解決に向けて、日本の優れた環境技術を必要とする地域へ届けるための国際協力の重要性を強調するとともに、WIPO GREENがその橋渡し役を果たしていると述べました。
来賓として、河西康之特許庁長官は、知的財産を活用した環境技術の普及の重要性と、本フォーラムが技術とニーズを結ぶ「つなぐ場」として果たす役割への期待を示しました。
山口しのぶ国連大学サステイナビリティ高等研究所所長は、持続可能で脱炭素化された社会の実現には、グリーン技術を必要とする地域へ迅速に届けることが重要であると述べ、WIPO GREENの取組を歓迎しました。
山本雅史ダイキン工業株式会社グローバル知財戦略担当常務専任役員/WIPO GREEN日本アンバサダーは、日本の環境技術の強みとして「実装力」を挙げ、本フォーラムが新たな対話とパートナーシップ形成の第一歩となることへの期待を表明しました。
ノンプメレロ・オボコWIPO地球規模課題・パートナーシップ部門事務局長補室 気候変動・食料安全保障ユニット長は、WIPO GREENが環境ニーズと革新的技術を結びつけるグローバルなプラットフォームとして発展してきたことを紹介し、本フォーラムのような技術紹介の場が技術移転の促進に重要であると述べました。

WIPO日本事務所 澤井所長による開会挨拶

河西特許庁長官による来賓挨拶

国連大学サステイナビリティ高等研究所山口しのぶ所長による来賓挨拶

ダイキン工業株式会社グローバル知財戦略担当常務専任役員 山本雅史氏による来賓挨拶

ノンプメレロ・オボコWIPO地球規模課題・パートナーシップ部門事務局長補室 気候変動・食料安全保障ユニット長による来賓挨拶
フォーラムでは、18の企業・大学等が登壇し、半導体技術、廃棄物処理・リサイクル、水処理、再生可能エネルギー/省エネルギー、スマート農業/気候適応農業技術、スマートシティ、衛生技術の各分野における先進的な技術を紹介しました。
前半セッションでは、日本企業・大学8組織が、廃棄物処理・リサイクル、水処理、半導体技術に関するプレゼンテーションを行いました。
廃棄物処理・リサイクル
- グリーンブルー株式会社:ファインバブル技術の排水処理施設への適用
- 株式会社竹中工務店:建物完結型バイオガスシステム「メタファーム®」
- 株式会社LIXIL:循環型素材「revia」
- GOMIソリューションズ株式会社:熱分解技術を用いた持続可能な廃棄物処理
- 国立大学法人東北大学(林教授):非平衡反応場を利用した低環境負荷ナノ材料創製技術
半導体技術
- 新電元工業株式会社:SiC(シリコンカーバイド)デバイス(SiC-SBD・SiC-MOSFET)
水処理
- 株式会社ダイセル:工場廃水/活性汚泥処理廃水向けの水処理(TB-RO膜)モジュール
- 日之出産業株式会社:水再生の持続可能な技術、酸素供給機器(HMB)
後半セッションでは、日本企業・大学10組織が、再生可能エネルギー/省エネルギー、スマート農業/気候適応農業技術、スマートシティ、衛生技術に関するプレゼンテーションを行いました。
再生可能エネルギー/省エネルギー
- GSアライアンス株式会社:ブラックマスを原料とした再生型リチウムイオン電池
- 国立大学法人金沢大学(上野教授):微小振動を電力に変えるV-GENERATOR
- 株式会社明電舎:仮想同期発電機機能付き蓄電池用インバータ(VSG-PCS)
- 東洋アルミエコープロダクツ株式会社:調理用黒色アルミホイル(トースターにて短時間で美味しい石焼きいもができるホイル)
スマート農業/気候適応農業技術
- 国立大学法人東北大学(金子教授):大気圧空気プラズマを用いた持続可能な農業
- つばめBHB株式会社/国立大学法人東京科学大学:分散型グリーンアンモニア
- 国立大学法人鳥取大学(石井准教授):TFMSAを用いた様々な植物に対する雄性不稔導入技術の開発とハイブリッド育種への応用
- 輝翠株式会社:Adam-不整地対応AIロボットによる低炭素・持続可能な農業ソリューション
スマートシティ
- ピクシーダストテクノロジーズ株式会社:音響メタマテリアル × バイオフィリックデザインによる持続可能な都市空間の創出
衛生技術
- 正和電工株式会社:新型トイレBio-Luxと新浄化装置Bio-Lux Water
各プレゼンテーション後には質疑応答が行われ、海外市場における活用可能性、各地域のニーズとの適合性、導入上の課題、今後のパートナーシップ形成の可能性などについて活発な意見交換が行われました。日本の環境技術に対する国際的な関心の高さが示されるとともに、WIPO GREENを通じた今後の具体的なマッチングへの期待が高まりました。
閉会にあたり、澤井所長は、本フォーラムで紹介された18の先進的な環境技術が世界各地の課題解決に大きな可能性を有していることを強調し、本フォーラムが新たな協力の出発点となることへの期待を述べました。
フォーラム終了後にはネットワーキングイベントも開催され、登壇者同士および登壇組織と日本パートナーとがさらに具体的な連携可能性について意見交換を行う機会となりました。
本フォーラムは、WIPO日本事務所の主催の下、日本国特許庁、日本貿易振興機構(JETRO)、日本知的財産協会(JIPA)の後援を得て実施されました。
なお、各来賓挨拶および登壇組織によるプレゼンテーション動画は、後日イベントページに掲載される予定です。
WIPO日本事務所は、今後もWIPO GREENを通じて、日本の優れた環境技術と世界各地の具体的ニーズとの橋渡しを進め、持続可能な社会の実現に向けた国際協力を促進してまいります。
なお、本イベントの開催にあたっては、FIT/日本産業財産グローバルファンドによる支援を受けています。