WIPO日本事務所が第二回WIPO GREENパートナーネットワーキングイベントを開催

2025年3月19日、WIPO日本事務所は、日本国特許庁、ならびに、一般社団法人日本知的財産協会(JIPA)および一般社団法人発明推進協会(JIPII)のご後援の下、第二回WIPO GREENパートナーネットワーキングイベントを開催しました。本イベントは、世界一のパートナー数を誇る日本のパートナーの皆様をお招きし、WIPO GREENを通じた環境技術のオープンイノベーションの活性化に向けたご議論をいただくとともに、パートナー間の情報共有を図ることを目的としたものです。なお、本イベントの開催にあたっては、FIT/日本産業財産グローバルファンドによる支援を受けています。

会場の様子

イベントでは、冒頭、「この場が公的なプラットフォームとして環境技術のオープンイノベーションを促す、業界や業種を超えた“交差点”をなることを願う」とする弊所所長の澤井智毅の挨拶に始まり、特許庁の小野洋太長官より「特許とビジネスの接点をどう捉え、GX技術の実装をどう進めていくかという重要課題に対して、更に継続した支援をしていきたい」との来賓挨拶を、また発明推進協会(JIPII)の岩井良行会長より「真のニーズと技術をつなげていく“通訳”としての役割が非常に重要であり、利益をもたらすライセンスビジネスとなるよう、今後も協力していきたい」とのご挨拶をいただきました。また、パートナーからWIPO GREEN日本アンバサダーに就任された、ダイキン工業株式会社山本雅史常務専任役員より、「この度、タン事務局長よりWIPO GREENアンバサダーを賜り、大変光栄であり、環境問題に関するニーズとシーズのマッチング成果を上げていけるよう努めたい。世界中のニーズを知り、パートナー側が自分達の持っている技術を、WIPO日本事務所が1月に行ったイベントの言葉を借りれば、Show and Tellすることが重要である」というお言葉をいただきました。

さらに、WIPOからの報告として、WIPO国際事務局の永野志保上級計画官より、WIPO GREENアクセラレーションプロジェクトの具体的な方法、本年の計画、パートナーとの相互理解、The Green Technology Book等に関しての紹介がされました。続けて、WIPO日本事務所の松原陽介参事官より、WIPO GREENデータベースの環境技術ニーズ調査事業の報告と注目ニーズの紹介がありました。

日本知的財産協会(JIPA)の別宮智徳SDGsワーキングリーダーからは、「WIPO GREENの活性化に向けた取り組み」について、次いで住友大阪セメント株式会社小堺規行常務執行役員からは「NEDOグリーンイノベーション基金の視点からみたWIPO GREEN参画の意義」について、アサヒグループホールディングス株式会社藤原響子知的財産部門長からは「サステナビリティの取り組みとWIPO GREENへの期待」について、国立大学法人東北大学
産学連携機構 渡邉勇機構長特別補佐(特任教授)からは「東北大学における産学連携グリーンイノベーションや知財コンサルティングの取り組み」について、ご講演をいただきました。

プログラムの後半では、ご参加の各機関の代表者全員から各機関の活動の紹介やWIPO GREENへのご要望、ご意見などを中心に活発な自由討議が行われました。具体的な課題や今後の展望について率直な意見が交わされWIPO GREENのさらなる発展に向けた有益な議論が展開されました。また、終了後のレセプションでは、会場参加者同士の自由なネットワーキングが行われ、WIPO GREENに関心を持つ多様なステークホルダーが直接対話することで新たな協力の可能性が生まれる貴重な機会となりました。

昨年度に引き続き、70名にも及ぶ日本のWIPO GREENパートナーが一同に集うイベントとして本会合を開催し、参加者同士のネットワーキングの促進や情報共有の場として、今後も継続的に実施していくことの重要性が確認されました。

ご参加の皆様からは、 持続可能な社会の実現に向けて、WIPO GREENプラットフォームとパートナーシップの重要性が強調されたとともに、ニーズとシーズのマッチングをさらに促進する必要があるといった多くの意見が寄せられました。 イベント後のアンケートにおきましても、94%もの肯定的な評価をいただき、次回の同種会合への参加希望が98%となるなど、高評価をいただきました。
WIPO日本事務所は、WIPO GREENを通じたマッチングや技術移転の成功事例を創出するため、引き続きWIPO GREENパートナーの皆様と緊密に連携し、さらなる取り組みを推進してまいります。

(写真: WIPO日本事務所)

地球温暖化等の環境問題に対する取り組みである「WIPO GREEN」は、日本の産業界から提案され、今日では世界知的所有権機関(WIPO)の主要な施策の一つに数えられています。WIPO日本事務所は、このWIPO GREENを日本のユーザーに積極的に展開し、日本からの参加を後押しすることで、SDGs達成へ向けた活動を行っています。

WIPO GREENが有するデータベースには、世界中から14万件を超える環境技術や環境技術を必要とするニーズの情報が登録されています。また、世界中から157の機関がWIPO GREENパートナーとして参加し、WIPO GREENを戦略的に支えています(2025年3月時点)。日本からは、日本国特許庁、日本知的財産協会をはじめとする公的機関・団体や企業等がパートナーとして参加しており、また、近年は、WIPO GREENを産学官連携のプラットフォームとしての活用への期待からアカデミアからの参加が進展し、世界で最も多い52のWIPO GREENパートナーが参加しています(2025年3月時点)。

WIPO日本事務所は、知的財産の伝道師として、全国の関係機関と連携しつつ、WIPO GREENを始めとするWIPO施策の普及啓発活動に取り組んでまいります。


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WIPO Japan Office

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