世界に通用する日本のグローバルデザイン展

2025年は、意匠の国際登録制度であるハーグ協定の制定から100周年・日本のハーグ協定加盟から10周年という記念の年である。この節目の年を記念して、世界的にも著名なデザイナー5名で構成された選考委員会により選定された「世界に通用する日本のグローバルデザイン展」を開催し、日本の美しい製品に息づく美意識と創造性を改めて認識していただく機会を提供した。

100年の歴史の中で進化を遂げてきたハーグ制度に、日本は10年間の歩みを刻んできた。本展示では、時代を超えて受け継がれてきた日本のデザインが持つ美意識と創造性を振り返り、その中に息づく普遍的な価値や未来への可能性を改めて感じていただける機会を提供する。日本の知的財産制度が支えてきたデザインの歩みを通じて、これからの発展への期待を共有したい。

展示作品一覧

開催にあたって

デザインの国際登録制度(ハーグ協定)に日本が加盟し、10年という節目を迎えました。一方で、特許権と比べると、日本はグローバルな意匠権の確保には消極的です。実際、「自社製品が米国市場に参入できた成功要因」を日本の製造業25,000社に問うた調査※において、「高品質・高機能(63.6%)」や「技術力(50.0%)」を選択した企業が多い中、「デザイン」を選択した企業は実に0%でした。デザインに対する自信に乏しいことがうかがえます。 

日本の創造性に対する世界の高い評価は、当然にデザインにも及ぶはずです。そうした思いから、先の経済産業省・特許庁「デザイン経営宣言」(2018)や「意匠制度改革」(2019)の際にもご相談させていただいた世界的なデザイナーの皆様に改めてお集まりいただき、「世界に通用する日本のグローバルデザイン」を選定いただきました。日本の美しい製品やデザインに息づく美意識やその高い創造性を再認識する機会になれば幸いです。

WIPO日本事務所長
澤井 智毅

※「我が国ものづくり産業の競争力の源泉に関する調査報告書」(2011年経済産業省)
 

世界に通用する日本のグローバルデザイン

(photo: wipo)

2025年4月23日に東京のイイノホールで行われた、世界知的財産の日記念イベントにて開催された本展示の様子。

作品一覧

  • 第18回東京オリンピック公式ポスター (1964) 亀倉 雄策
  • 日本の国旗 (不明)
  • 握り寿司 (江戸後期)
  • 冨嶽三十六景 神奈川沖浪裏 (1830年頃) 葛飾 北斎
  • 日本酒の一升瓶 (1900年頃)
  • バタフライスツール (1956) 柳 宗理
  • しょうゆ卓上びん (1961) 榮久庵 憲司
  • 新幹線0系電車 (1964)
  • 国立代々木競技場第一体育館 (1964)  丹下 健三 
  • 2000GT (1967)
  • 点字ブロック (1967)  三宅 精一 
  • カッターナイフ ブラックS型 (1970)  岡田 良男 
  • ウォークマン® TPS-L2 (1979)
  • ウォシュレット (1980) 
  • BLITZ (1981) 川上 元美 
  • シンセサイザーDX7 (1983) 
  • プロフィールプロ KX-21HV1 (1986)
  • フジカラー 写ルンです (1986)
  • G-SHOCK AW-500 (1989)
  • ハンディカム® CCD-TR55 (1989)
  • ユーノス ロードスター (初代) (1989)  田中 俊治 
  • PLEATS PLEASE ISSEY MIYAKE(1993) 三宅 一生 
  • QRコード (1994)
  • 聖アンデレ教会 (1996)  香山 壽夫 
  • 壁掛式CDプレーヤー CPD-4 (2000)
  • TMAX (2000)
  • AQUOS C1 (2001年) 喜多 俊之 *
  • VMAX 2代目 (2008)
  • HIROSHIMA アームチェア (2008) 深澤 直人 
  • JR東日本E259系電車 (2009)
  • 鈴木大拙館 (2011)  谷口 吉生 
  • ヘルプマーク (2012)  グラフィックデザイン:永井 一史  プロダクトデザイン:柴田 文江 
  • RX-VISION (2015)
  • ロードスター (4代目) (2015)
  • ネオレストNX (2017)  吉岡 佑二 中林 大昂 谷 稔 
  • aibo® ERS-1000 (2018)
  • 新幹線N700S電車 (2020)  福田 哲夫 福田 一郎 木村 一男 蓮見 孝 井上 雅弘 
  • EOS R3 (2021) 松尾 貞治 
  • 石川県立図書館(2022) 仙田 満 
  • ポータブルシアターシステム HT-AX7 (2023)
  • プリウス (2023)

*委員により後日推薦

実際に展示されたパネルおよび作品の選考理由については、下記よりPDFでご覧いただけます。

展示パネル一覧をダウンロード  [PDF]
選考理由一覧をダウンロード  [PDF]

選考委員会メンバー(50音順)

仙田 満

環境建築家・環境デザイン研究所会長

田中 一雄 

株式会社GKデザイン機構 代表取締役社長/CEO

永井 一史

株式会社HAKUHODO DESIGN 代表取締役社長

長谷川 豊

MY-THOUGHTS 代表/Design Advisor

前田 育男

マツダ株式会社 エグゼクティブフェロー デザイン・ブランドスタイル監修

主催

世界知的所有権機関(WIPO)日本事務所

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