「一つのドアが閉まると、もう一つが開く」。これは、ベトナムの起業家、Phi Ngoc Chung氏にも当てはまりました。彼は大きな挫折を人生を変える機会に変え、今日ではベトナム料理の豊かな味と伝統を伝えるビジネスで成功しています。
市場の屋台から店の棚にまで: Trung Thanh Foodのベトナム産魚醤
1990年代の初めに、Phi Ngoc Chung氏は「経済再編」によって職を失い、困難な岐路に立たされました。生活費を稼ぐのに苦労していた彼は、ハノイの路上でアイスクリームを売り始めました。
そこから様々なことを経て、Phi氏はベトナム料理の定番食材である伝統的な魚醤を地元の市場で販売し始めました。当時の販売プロセスは便利さや衛生的とは程遠く、顧客は、自分で持参した容器に魚醤を詰めてもらっていました。
そこにPhi氏はチャンスを見出しました。彼は魚醤を瓶詰めしてラベルを付けることで、より実用的で消費者にとってより魅力的なものにすることができました。ここから新しいベンチャーが始まり、1995年にTrung Thanh Foodsが誕生しました。1998年までにベトナムで登録商標となり、それから3年以内にはTrung Thanh Foodsは、国内の商標保護手段を使用しながら、中国市場に進出していました。
変化する顧客ニーズに対応した、進化した製品群
時が経つにつれ、Trung Thanh Foodsの製品群も増えていきました。魚醤の後にチリソースが生まれ、その後に、酢、野菜の缶詰、そしてその他の製品が生まれました。広範な市場調査に基づき、当社は今日、200種類超の食品を開発し、Trung Thanh Foodsはベトナムのスパイスと食品の大手メーカーの一角を占めています。
この成功の一因は、進化する顧客のニーズと好みに対応するという当社の取り組みにあります。
当社の製品が競合他社製品と一線を画すものは何ですか? Trung Thanh FoodsのChief Strategy OfficerであるHuong Nguyen氏は、次のように説明しています。
「我々は、信頼できる地元業者さんたちからの本物の天然素材のみを使用しています。我々は安全性と品質を第一に考えています。最も重要なことは、当社の製品が伝統的なベトナムの味に忠実でありながら、絶えず進化し続けていることです。」
Trung Thanh Foodsの保護: ハノイから世界へ
Trung Thanh Foodsは、ベトナムの国内食品業界ですぐに有名になり、すぐに国際市場進出を視野に入れました。
グローバルに展開するにつれ、商標保護に関する新たな課題が生じました。
どうやって解決したのでしょうか? 2008年に、Trung Thanh FoodsはWIPOのマドリッド制度を通じてベトナム商標を登録し、1つの出願で複数の国でのブランド「Trung Thanh」の保護に成功しました。
対象となった市場は、オーストラリア、朝鮮民主主義人民共和国、日本、カザフスタン、ラトビア、モンゴル、韓国、シンガポール、スーダン、そして英国 (UK) でした。
この選択の背後にある基準は何だったのでしょうか? 「我々は、これらの市場への製品輸出に勝算があることがわかっていました。強力なベトナム人コミュニティを持つ市場も含まれていますし。特に日本と韓国では格別な成功を収めましたが、それは料理の好みが我々の好みと重なっているためです。そのおかげで、ベトナムの調味料はこれらの国の食文化に馴染みやすかったと思います。」とHuong Nguyen氏は言います。
一方で他の市場への拡大は、より困難であることが証明されました。当社は再評価を余儀なくされました。
「戦略を一新し、新しい名前と新しいロゴでブランドアイデンティティを更新しました。2018年には、「Trung Thanh FOODS」の新たな国際商標登録出願を行い、最も可能性の高い市場に焦点を当て、うまくいかなかった国を除外しました。
Huong Nguyen氏
ベトナムの味と伝統に忠実であり続けること「新しい国で最初の一歩を踏み出すのは簡単ではありません。商標登録出願の物理的なプロセスだけではなく、法的手続が難しいです。特に審査が大変な場合があります。当初の我々の戦略は、ただ生き残ることでした。法的環境が拡大して競争が激化するにつれて、我々の戦略はより積極的になりました」とHuong Nguyen氏は語ります。
氏から助言をいただきました。「お客様を理解して市場調査を行うことです。食品調味料は、ベトナムの食文化の発展の重要な担い手です。我が社は変化する顧客嗜好をつかんで国内外のお客様をよりよく理解するためのアプローチを洗練させていく試みを常に行っています。パッケージとロゴは、よりモダンで現在のトレンドに合ったものに更新しましたが、当社の製品自体は、ベトナムの味と伝統に忠実であり続けています。」
海外の同郷者のコミュニティ (diaspora communities) の活用は、特に効果的であることが証明されました。
「海外のベトナム人消費者が、我が社の本物の味を地元の消費者に紹介してくださり、これによって様々な国で我が社の知名度が上がりました。」もちろん、我が社は可能性のある市場の調査は常に行っており、その際まずは現地の商標登録要件を確認しています。」
Huong Nguyen 氏
マドリッド制度 – 国際的な地平線を照らす指針の光
現在、Trung Thanh Foodsの国際商標登録は、オーストラリア、朝鮮民主主義人民共和国、欧州連合 (全27カ国) 及び英国でブランドを保護しており、これら全てが1つの言語と1つの通貨で管理されています。
「我が社はマドリッド制度から大きな恩恵を受けました。」と、Trung Thanh Foodsの知的財産部門のMai Truong氏は説明します。「我が社のような食品製造会社にとって、コストと時間の節約だけでなく、運用効率が利点です。このシステムにより、商標登録プロセスが簡素化され、法的リスクが軽減され、コストが半減しました。」
マドリッド制度がTrung Thanh Foodsにとって特に役に立ったのは、国境を越えたブランド管理における一元的なアプローチです。Mai氏は、「その一元化されたメカニズムにより、商標ポートフォリオの監視が容易になり、ビジネスが成長したときに、新しい主要市場の保護拡大が容易になります。」と述べています。
同社は、それまでは複雑な国際出願に費やしていたリソースを、中核事業の開発に充てることができるようになりました。地域共通の標準化された手続をとることで、国ごとに異なる法制度に対処する必要がなくなり、簡素化されたグローバルなブランド保護戦略が可能になりました。
「もちろん、他の企業にもお勧めです」とMai氏は強く語ります。「海外で商標を保護したいと考えている企業にとって非常に貴重なツールです。」
IP保護に支えられた将来の成長
Trung Thanh Foodsの事例は、マドリッド制度による戦略的な商標保護が国際的なビジネスの成長を助ける一例を示しています。露天商としての間に合わせの経営から国際ブランドになったという同社の歩みは、高品質の製品と強固な知的財産保護を組み合わせることの強力さを示しています。
旅はまだまだ終わっていません。
Trung Thanh Foodsは、可能性のある市場の調査を続けており、常にまずは現地の商標要件を確認しています。これが、彼らが地元の生産者から国際的なプレーヤーへと変貌する過程で役立ちました。
「我が社の知財代理人とWIPOの専門家の支援を受けながら、我が社はブランドのグローバル展開をさらに推し進めていきます」とMai氏は自信を持って述べています。
FTrung Thanh Foodの国際商標登録についての詳細については、こちらをご覧ください。
マドリッド制度について
マドリッド制度は、単一の言語による単一の出願を提出し、手数料一式を支払うことで、最大130か国で商標を登録することができる、便利で費用対効果の高いソリューションです。