韓国スキンケアからビューティーテックまで:APRのグローバル商標戦略

急速に進化する化粧品市場において、WIPOのマドリッド制度を通じてグローバルなブランドの競争力を構築する

2014年に韓国のソウルで設立されたAPRは、Medicube、Aprilskin、Formentなど6つのブランドを展開するグローバルな美容企業です。化粧品や美容機器といった幅広い事業ポートフォリオを有するAPRは、人類が古くから抱える課題の1つである老化に対し、実用的な解決策を提供することを目指す、技術主導型企業としての地位を確立しています。

ピンクの背景の上に、美容液、日焼け止め、トーニングジェル、コラーゲンクリームといったMedicubeの製品6点と、DERMA-Sの携帯デバイスが並んでいる写真
(写真: APR)

製品と技術の競争力を強化するため、APRはWIPOのマドリッド制度を戦略的ツールとして活用し、世界市場全体でブランドの一貫性と信頼を維持するとともに、長期的で国際的な成長の支えとしています

韓国を代表する美容企業を築くというグローバルな起業の構想

APRの物語は、人生の転機となる瞬間から始まります。10代の頃、創業者兼CEOのByung Hoon Kim氏は、父親が突然職を失うのを目の当たりにしました。彼は、人々の生活がいかに脆いものであるか、そしていかに急速に困難が根づくかを、身をもって目の当たりにしました。その経験により、彼は「何か違うもの」、すなわち不確実性を乗り越えられる、自律的で強靭な企業を築き上げようという決意を固めました。

大学で経営学を学んでいた頃、Kim氏は何度か起業に挑戦し、成功と失敗の両方を通じて学びました。こうした経験を通じて、彼の確信はより明確になりました。すなわち、持続可能な成長は、短期的な業績ではなく、長期的な技術競争力と信頼されるブランド資産にかかっているということです。

APRのCEOであるByung Hoon Kim氏が黒いスーツ姿で、オフィスの壁に掲げられたAPR社のロゴとスローガン「Advance People’s Real Life(人々の日常生活を前進させる)」の横で、腕を組んで立っている写真
(写真: APR)

米国カリフォルニア州での大学交換留学プログラムが、決定的な役割を果たしました。そこでKim氏は、社会に利益をもたらす問題解決のアイデアと、それを実行する能力が何よりも重視されるイノベーション文化を目の当たりにしました。これらの原則は、APRの戦略の中核となりました。

構想は現実となったのです。2025年までに、APRは韓国でナンバーワンの美容企業として認知されるようになりました。しかし、Kim氏はそこで止まるつもりはありません。APRは現在、アジアを代表する美容企業となることを目指しています。

「革新的な製品だけでは、この目標を達成するには不十分です。世界中の市場において、当社のブランドを一貫して適切に保護・管理するための強固な体制を整えることも、同様に不可欠です。」
APR法務チーム

Medicube AGE-R—誇大広告によるマーケティングよりも科学を重視したアンチエイジングスキンケア

APRのMedicube AGE-Rブランドは、プロ並みのスキンケアを実現する家庭用美容機器を提供しています。ブランド名「Medicube AGE-R」は、「Age Reverse(年齢に逆行する)」に由来しており、老化を単なる美容上の問題としてではなく、科学、技術、そしてイノベーションを通じて取り組むことができる普遍的な課題として捉えるという、APRの理念を反映しています。

インフルエンサーが仕掛けるトレンドや瞬時に広まるオンラインの口コミによって動くことの多い業界において、AGE-Rは異なるアプローチを採っています。AGE-Rは、巧妙なマーケティングや視覚的な魅力に頼るのではなく、機能性と実証可能な効果に基づいて信頼を築いています。

「AGE-Rは、製品ブランドであると同時にコンセプト言語としての役割も果たしており、APRがどのように責任と長期的なコミットメントを持って老化というテーマに向き合っているかを表現しています」と、APRの法務チームは述べています。

家庭用オールインワン美容機器:Medicube Booster Pro

APRの技術的な転換点は、主力製品である「Medicube Booster Pro」の登場でした。これは、複数のスキンケア機能を統合した6-in-1デバイスで、成分の浸透性と肌の輝きを高め、顔を引き締めます。

さまざまなスキンケアツールや製品が展示されている美容見本市のブースで、女性が携帯スキンケア機器を試している写真
(写真: APR)

しかし、真の革新は製品だけではありませんでした。従来の製造方法に伴う性能の低下や技術的なリスクを回避するため、APRは大胆な決断を下しました。それは、すべての主要部品を自社内で開発するということです。Booster Proは、APRにとって初の完全自社製造モデルとなり、同社は製品の品質を完全に管理できるようになりました。

この戦略の有効性は、結果によって裏付けられています。2025年9月までに、世界での販売台数が200万台を突破したのです。

APRの急速な世界展開により、商標に関する新たな課題が発生

成功に伴い、事態は複雑化しました。2025年までに、APRの累計売上高は1兆5,273億ウォン(約10億4,000万米ドル)に達し、その80%は日本およびアメリカ合衆国を中心とした海外売上によるものでした。

国際事業が急速に拡大する中、APRは重大な課題に直面しました。国ごとの商標出願は、手続の複雑さと経営上の負担を増大させることになります。また、複数の世界市場に同時に参入する場合、競争力を維持するためには、商標保護のスピードと一貫性が極めて重要となります。

そこで浮上したのが、APRが書類作業に追われることなく、数十の法域にわたって自社ブランドを効率的に保護するにはどうすればよいか、という課題でした。

APRがWIPOのマドリッド制度を選んだ理由

知的財産権(IP)の専門家と協議した結果、APRは、拡大を続ける自社の商標ポートフォリオを管理するための最適な解決策として、WIPOの国際商標制度であるマドリッド制度を採用しました。この決定は、手続の簡素化だけでなく、次のような構造上の利点のために行われました。

  • 効率性:複数の国における権利の同時取得
  • 拡張性:単一の国際商標登録を通じて、拡大するポートフォリオを管理
  • 一元管理:登録、更新、および重要な期限をすべて1か所で確認
「単一の手続で複数の市場をカバーする国際商標出願を提出できるようになったことで、社内の業務負担が大幅に軽減され、コスト予測の精度も向上しました。出願や登録の状況、そして重要な期限を一元的に管理できる機能は、当社ブランドのグローバルな認知度を継続的に高める上で、極めて重要な役割を果たしてきました。」
APR法務チーム

APRの韓国スキンケア製品を世界中で保護する

2017年以来、APRはマドリッド制度を通じて80件超の有効な国際商標登録から成るポートフォリオを構築し、Medicube、AGE-R、Booster Pro、Aprilskinをはじめとする主要ブランドを、多くの国々で保護しています。

Photo shows a large pink Medicube skincare billboard on a city building featuring product images and a digital screen with a woman’s face.
(写真: APR)

APRのグローバルな商標保護への取り組みは、戦略的なものです。同社は以下の点を考慮しています。

  • 主な輸出先および今後の市場参入計画
  • オンライン販売およびマーケティング活動を積極的に展開している法域
  • 商標の模倣や先取り登録のリスクが高い国々

この統合的なアプローチにより、商標保護が事業拡大と歩調を合わせ、権利のカバー範囲におけるギャップを縮小しつつ、市場をまたいだブランドの一貫性を維持することができます。

今後、APRは、日本および米国での存在感を強化するとともに、欧州、東南アジア、その他の世界市場へと事業を拡大していく方針です。「マドリッド制度の事後指定機能により、APRは国際商標登録の地理的範囲を新たな市場へと拡大し、事業の拡大に伴い包括的な保護範囲を維持することができます」と、APRの法務チームは述べています。

戦略的な基盤の上に築かれたKビューティーのサクセスストーリー

ソウルのスタートアップ企業からKビューティー業界をリードする企業へと成長したAPRの軌跡は、技術力、ブランド哲学、そして体系的な国際商標管理が相乗効果を発揮し、持続可能なグローバル展開を支えていることを示しています。

APRにとって、マドリッド制度は単なる出願手続の仕組み以上の役割を果たしています。それは同社の基幹インフラであり、イノベーションを保護し、国境を越えてブランドの一貫性を維持し、世界中の顧客に愛されるための信頼を獲得することを可能にしています。

トレンドの移り変わりが激しく、競争が激しい業界において、APRの歩みは、長期的な技術競争力と戦略的なブランド保護が一体となり、永続的でグローバルな価値を創出するという、他とは異なる道筋を示しています。

MIXUEの国際商標登録についての詳細については、こちらをご覧ください。

マドリッド制度について

マドリッド制度は、単一の言語による単一の出願を提出し、単一の通貨で手数料一式を支払うことで、130超の国で商標を登録することができる、便利で費用対効果の高いソリューションです。

クイックリンク