WIPO Arbitration and Mediation Center

紛争処理パネル裁定

Ballet Makers, Inc. 対 Kanna Nishide, DANCESHOES.COM CO, LTD

事件番号 D2017-0972

1. 紛争当事者

申立人は、Ballet Makers, Inc.であり、その住所地はTotowa, New Jersey, United States of Americaである。申立人代理人は、Laubscher, Spendlove & Laubscher, P.C.であり、その住所地はUnited States of Americaである。

被申立人は、Kanna Nishide, DANCESHOES.COM CO, LTD であり、その住所地は日本国埼玉である。

2. ドメイン名および登録機関

紛争の対象であるドメイン名は<capezio.shop>(以下「本件ドメイン名」という)であり 、本件ドメイン名の登録機関はGMO Internet, Inc. d/b/a Discount-Domain.com and Onamae.comである。

3. 手続の経過

本件英語での申立書は、2017年5月16日にWIPO仲裁調停センター(以下「センター」)へ提出された。センターは2017年5月16日にメールにより本件ドメイン名の登録確認を登録機関に要請した。2017年5月17日に登録機関はメールによりセンターへ登録確認の返答をし、申立書に記載された被申立人および連絡先細目と異なる情報を当該ドメイン名の登録者として開示した。センターは申立人へ2017年5月29日に登録機関により開示されたドメイン名登録者および連絡先細目を通知した。それに伴い、申立人は申立書を訂正することができると案内された。センターは2017年5月29日に、英語と日本語で、紛争処理手続きの言語に関して、電子メールを当事者に送った。申立人は2017年5月31日に日本語が手続の言語であることを要求し、英語で申立書の補正書をセンターへ提出した。申立人は2017年6月8日に日本語で申立書の補正書を提出した。被申立人は紛争処理手続きの言語に関して要求を提出しなかった。

センターは申立書が統一ドメイン名紛争処理方針(以下「処理方針」という)、統一ドメイン名紛争処理方針手続規則(以下「手続規則」という)およびWIPO統一ドメイン名紛争処理方針補則 (以下,「補則」という)における方式要件を充足していることを確認した。

手続規則第2条および第4条に従い、センターは英語と日本語で本件申立を被申立人に通知し、2017年6月12日に紛争処理手続が開始された。手続規則第5条に従い、答弁書の提出期限は2017年7月2日であった。被申立人は答弁書を提出しなかった。したがって、センターは被申立人の義務の不履行を2017年7月3日に通知した。

センターは、Haig Oghigianを単独のパネリストとして本件について2017年7月10日に指名した。紛争処理パネルは、同パネルが正当に構成されたことを確認した。手続規則第7条の要請に従い、紛争処理パネルはセンターへ承諾書および公平と独立に関する宣言を提出した。

4. 背景となる事実

被申立人が答弁書を提出しなかったため、背景となる事実は、原則として、本件申立書に基づいて認定する。

申立人は、ダンスシューズ、アパレル及びアクセサリーの製造業者であり、世界中でCAPEZIOに関する商標権を有しており(例えば、日本の登録商標CAPEZIO、商標登録第5797035号、2015年10月2日登録)、また、複数の法域でCAPEZIOに関する商標権を有している(例えば、アメリカ合衆国の商標CAPEZIO.COM、登録番号4,548,793、2014年6月10日に登録)。

本件ドメイン名は、2017年2月22日に登録され、本決定の時点では、登録機関によるドメイン登録サービスの案内のために使用されている。

5. 当事者の主張

A. 申立人

申立人は、本件ドメイン名の移転を求めている。

申立人は、本件ドメイン名が申立人が商標権を有するCAPEZIOに混同を引き起こすほど類似していると主張する。すなわち、本件ドメイン名<capezio.shop>は、CAPEZIOにアルファベットの「.shop」を付加したにすぎないなどと主張する。

また、申立人は、被申立人は本件ドメイン名について権利又は正当な利益を有しないと主張する。すなわち、申立人が、CAPEZIOの商標およびマークを実際に使用していること、および申立人が保有している多くの登録商標から、申立人以外の事業者にCAPEZIOという商標を使用する正当な権利はないなどと主張する。

さらに、申立人は、本件ドメイン名の登録が悪意により行われ、悪意により使用されていると主張する。すなわち、Capezioブランドとは無関係のサービスのための訪問サイトであるように見受けられ、これは本件ドメイン名<capezio.shop>に関する通知を受領しないよう身を隠すために行われたものである、申立人の名声を無断で借用することを主目的としている、などと主張する。

B. 被申立人

被申立人は答弁書を提出しなかった。

6. 審理および事実認定

処理方針第4条(a)にしたがい、申立人は、ドメイン名の移転を求めるにあたって、次に掲げる要件を証明しなければならない:

(i) 被申立人のドメイン名が、申立人が権利を有する商標又はサービス・マークと同一であるか、又は混同を引き起こすほど類似すること;

(ii) 被申立人が、当該ドメイン名について権利又は正当な利益を有しないこと;及び

(iii) 当該ドメイン名が、悪意で、登録かつ使用されていること。

A. 同一または混同を引き起こすほどに類似しており

処理方針第4条(a)(i)にしたがい、申立人は、被申立人のドメイン名が、申立人が権利を有する商標又はサービス・マークと同一であるか、又は混同を引き起こすほど類似すること、を証明しなければならない。

申立人の商標に記述的用語又は一般名称を追加したとしても、争いとなったドメイン名及び当該商標間の類似性を軽減しないことは、処理方針の下での先例として確立している。例えば、Cantor Fitzgerald Securities, Cantor Index Limited対Mark Mark, Chen Xian Sheng/Whois Protect,WIPO 事件番号 D2014-0125及びJ. Choo Limited対Weng Huangteng,WIPO事件番号D2010-0126参照。

さらに、争いとなったドメイン名が申立人の商標を完全に包含する場合には、当該ドメイン名が当該商標と同一又は混同を引き起こすほど類似していることは処理方針の下での過去のUDRP決定により承認されている。例えばKabushiki Kaisha Hitachi Seisakusho (d/b/a Hitachi Ltd) v. Arthur Wrangle, WIPO 事件番号D2005-1105参照。

申立人は、世界中でCAPEZIOに関する商標権を有しており、また、複数の法域でCAPEZIOに関する商標権を有している。そして、本件ドメイン名<capezio.shop>は、CAPEZIOを完全に含み、これにジェネリック・トップ・レベル・ドメイン(「.shop」)を追加したにすぎない。

したがって、本件ドメイン名は、申立人のCAPEZIOの商標に混同を引き起こすほど類似している。よって、申立人は、処理方針第4条(a)(i)の要件を満たした。

B. 権利または正当な利益を有しておらず

処理方針第4条(a)(ii)にしたがい、申立人は、被申立人が本件ドメイン名について権利又は正当な利益を有しないこと、を証明しなければならない。同第4条(c)は、被申立人がかかる権利又は利益を有することになる例示的な事情を提供する。かかる事情は以下のとおりである。

(i) 被申立人が、この紛争についての何らかの通知を受ける以前に、善意による商品又は役務の提供を行うために、当該ドメイン名を使用していた、又は、使用のための明白な準備をしていたこと;

(ii) 被申立人が、商標権を取得していなくても、そのドメイン名の名称で一般に知られていたこと; 又は

(iii) 被申立人が当該ドメイン名を、正当にして非商業的に又は公正に使用しており、その際に、消費者をそらす、又は、当該商標を毀損する意図を有していないこと。

申立人が、被申立人が当該ドメイン名について権利又は正当な利益を有しないことを疎明した場合、立証責任が転換し、被申立人は、自己の権利又は正当な利益を示す適切な主張及び証拠を提出しなければならない。被申立人がそのような適切な主張及び証拠の提出に失敗した場合、申立人は、処理方針第4条(a)(ii)の要件を満たしたものとみなされる。例えばCroatia Airlines d.d. 対Modern Empire Internet Ltd.,WIPO事件番号D2003-0455及びBanco Itau S.A. 対 Laercio Teixeira, WIPO 事件番号D2007-0912参照。

本件申立書付録6から10までによると、CAPEZIOが申立人により世界中で保有される商標であり、また、そのCAPEZIOにジェネリック・トップ・ドメインである(「.shop」)を付加したにすぎない。また、本件ドメイン名は、Capezioブランドとは無関係のサービスのための訪問サイトに使われている。しかし、被申立人は、センターからの通知にかかわらず、本件紛争処理手続に関して答弁書の提出その他の応答を一切行っていない。

したがって、紛争処理パネルに提出された主張及び証拠を前提とする限り、被申立人が、善意による商品又は役務の提供を行うために、本件ドメイン名を使用していた又は使用のための明白な準備をしていたとは認められず、また、被申立人が本件ドメイン名を正当にして非商業的に又は公正に使用していたとも認められない。

さらに、本件紛争処理手続において、被申立人が本件ドメイン名の名称で一般に知られていたことを基礎付ける証拠は一切提出されておらず、申立人が、被申立人による本件ドメイン名の使用を承認又は許可していた事実を示す証拠も提出されていない。

以上からすると、申立人は、被申立人が本件ドメイン名について権利又は正当な利益を有しないことを疎明したといえる。そして、前記のとおり、被申立人は、本件紛争処理手続に関して一切応答を行っておらず、自己の権利又は正当な利益を示す主張又は証拠を全く提出していない。

したがって、被申立人は本件ドメイン名について権利又は正当な利益を有しないと認められる。よって、申立人は、処理方針第4条(a)(ii)の要件を満たした。

C. ドメイン名が悪意で、登録かつ使用されていること

処理方針第4条(a)(iii)にしたがい、申立人は、本件ドメイン名が、悪意で、登録かつ使用されていることを証明しなければならない。

前記のとおり、CAPEZIOが申立人により世界中で保有される商標であり、また、そのCAPEZIOの商標にジェネリック・トップ・ドメインである(「.shop」)を付加したにすぎない。そして、CAPEZIOの文字列を完全に含む本件ドメイン名は、Capezioブランドとは無関係の、登録機関によるドメイン登録サービスの案内のために使用されている。被申立人は、センターからの通知にかかわらず、本件紛争処理手続に関して答弁書の提出その他の応答を一切行っていない。

また、被申立人が申立人からCAPEZIOの商標の使用を許可されていないのであれば、CAPEZIOの文字列を完全に含む本件ドメイン名を登録すること事態が、悪意に該当する。例えばVeuve Clicquot Ponsardin, Maison Fondée en 1772対 The Polygenix Group Co., WIPO事件番号D2000-0163及びPepsiCo, Inc.対 "null", aka Alexander Zhavoronkov, WIPO事件番号D2002-0562参照。

以上からすると、処理方針第4条(b)(i)にしたがい、当該ドメイン名は、悪意で、登録かつ使用されていると認められる。したがって、申立人は、処理方針第4条(a)(iii)の要件を満たした。

7. 裁定

以上の理由により、処理方針第4条(i)項および手続規則第15条に従い、紛争処理パネルは当該ドメイン名<capezio.shop>を申立人へ移転することを命じる。

Haig Oghigian, F.C.I.Arb.
パネリスト
日付: 2017年7月24日