ホンモノ–正規品

WIPOが新しく発行した漫画(著者:岩﨑恵美子さん)は、店員の若者が模倣品の危険性と、消費者が容易に騙されて模倣品を購入し、やがて模倣品が招く深刻な被害に遭うという事件に、どのように直面していくかを描いた物語です。

英語版と日本語版は2011年9月に出版されました。アラビア語・中国語・フランス語・ロシア語・スペイン語の翻訳版も、今後出版される予定です。

今回の漫画コンテストの優勝者の岩﨑さんが素晴らしい漫画を描いてくださいました。…このマンガを通じて、一人でも多くの方が模倣品について理解を深めていただき、模倣品の被害が減ることを願っていますし、そうであると信じています。(特許庁 国際課 多国間政策室長 夏目 健一郎)

知的財産権を守ることが重要だという人々の理解は、我々自身の生活を豊かにする創造的な活動の支援につながる。(外務省 広報文化交流部 前・総合計画課課長 林 禎二)

英語版ダウンロード [高解像度版] PDF, Honmono -
genuine goods | [低解像度版] PDF, Honmono -
genuine goods, low resolution
日本語版(原文)ダウンロード [高解像度版] PDF, Honmono -
genuine goods, Japanese  | [低解像度版] PDF, Honmono -
genuine goods, low resolution, Japanese

 

「ホンモノ」(模倣品対策)漫画コンテスト

2010年夏、WIPO日本事務所は「ホンモノ」(模倣品対策)漫画コンテストを開催しました。本漫画コンテストは日本国外務省、日本国特許庁の後援を受け、角川グループパブリッシングの協力を得て行われました。

本漫画コンテストは、模倣品購入に関連した健康面や安全性のリスクを訴える独創的な漫画を制作するため、日本人の漫画家を公募しました。応募条件として、偽物に関連した健康や安全への懸念について触れたオリジナルの漫画作品(数頁)、あらすじ、そして登場人物紹介の提出が求められました。日本全国より応募をいただきました。

出版業界の専門家にも協力いただいた厳選な審査の結果、岩﨑恵美子さんの「HONMONO ~人生を変える秘密の魔法~」が優勝作品に選ばれました。岩﨑さんには契約金として120万円が授与され、プロの漫画編集者と共に応募作品を50頁以上の漫画作品に完成させる機会が与えられました。この他、本漫画コンテストの最終候補作品として、大久保亞夜子さんの「True!?」と高橋美奈子さんの「それってホンモノ?」が選ばれました。


偽物市場でアルバイトをしている主人公を描く物語(岩﨑さんの優勝作品より)

真偽の女神が模倣品による危害について人間に伝え
るため、地上に使者を送る物語(大久保さんの応募
作品より)

謎のフワフワの白い生き物が、「本物を与えてください」
というカード付きで空から降ってくる物語(高橋さんの応募作品より)

 

2011年3月、月刊誌「公募ガイド」において2010年1月から12月までに告知または発表された公募・コンテストの中から、WIPOの「ホンモノ」(模倣品対策)漫画コンテストが、2010公募アワード「啓蒙活動賞」を受賞しました。本漫画コンテストは、模倣品の危険性に対する意識を広げるという目標を達成するため、「漫画を使って分かりやすく幅広い層に訴えようという手法」が賞賛されました。

 

筆者インタビュー


岩﨑恵美子さん

岩﨑恵美子さんは、男性が圧倒的多数を占める日本のビデオゲーム業界で活躍する数少ない女性ゲームデザイナーの一人でした。岩﨑さんは自身でビデオゲームの企画・開発を行なった経験もあります。岩﨑さんの才能をさらに知るため、WIPO日本事務所が取材を行ないました。

絵を描き始めるきっかけは何でしょうか?

子供のころから私は油絵を描くのが大好きでした。コンピューターには芸術を創る大きな潜在的可能性があることがわかった時代に、私はコンピューターを職場で使い始めました。このビデオゲーム業界での経験も、私に漫画を描く能力を高める機会を与えてくれました。

WIPOの漫画コンテストになぜ応募しようと思ったのでしょうか?

人を支援するもので、かつ人々が理解しやすい何かを制作したいと考えていました。これまで私のキャリアの中で、漫画やゲームそれに類する作品を制作するための自己能力開発に重点を置いてきましたが、最近は社会を良くすることに私のスキルを役立てたいという思いにかられていました。楽しく易しく理解できる方法で社会的に大切な問題を人々に伝えるために、漫画の力を使いたかったのです。ちょうどこの道を模索していたとき、WIPOの漫画コンテストについて知りました。これは理想的な機会でした。

この企画で最も難しかったことは何ですか?

多くの商業的な漫画やゲームは既存のマーケットを対象にしています。顧客は明確な期待を持っており、私たち創作者は、顧客の声に耳を傾け、目線を考慮する必要があります。一方で、WIPOの漫画コンテストにおける主な課題は、漫画の教育的メッセージをいかに楽しく、人を惹きつけながら、理解しやすい方法で伝えるかということでした。私は、読者にとって身近に感じ、自然に興味をひくような内容にしたいと考えました。

この漫画は世界中の読者を対象としているため、私は模倣品問題をよく把握し、模倣品について世界中の異なる地域の若者が持つ異なった視点について理解する必要がありました。日本で生まれ育った私には、無意識に本物が流通するのが当たり前という感覚になっているので、その感覚を壊すのが大変でした。

今までの作品と今回の漫画制作はどのように異なりましたか?

新しいビデオゲームや他の作品を制作するときは、一番重要なテーマが印象強くなるように構成し、次に全体的なバランスやテンポを調整して組みたてていきます。

WIPO漫画コンテストのために制作した漫画では、その過程は少し異なりました。最初に対象とする読者を理解し、いかにして読者にとって意義のある漫画を制作するかということを考える必要がありました。なぜなら題材(模倣品問題)が難しく、多くの人にとっては馴染みのないものであるため、シンプルでどこの国の人でも容易に理解できるストーリーを作る必要があったので、シンプルな王道的漫画の構成にしようと考えました。王道漫画には重要な特徴の、ヒーローやバトルといった要素を話の筋に組み込むことができるかを考えなければなりませんでした。この漫画によって読者が、模倣品によって引き起こされる被害について自然に考えてくれるようにしたかったので、漫画の要素と教育的な題材のバランスを取りつつうまく共存させるかが大事な点でした。

何が制作に刺激を与えましたか?

海外旅行での経験が私にとって最大の刺激となりました。海外旅行で多くのさまざまな人や場所、文化、物の見方、そして芸術スタイルに接し、そしてまた多くの偽物を見かけました。こういった経験が、この漫画制作の一助となりました。

知的財産権侵害の被害にあったことはありますか?

はい。私が制作に関わったビデオゲームの一つに、最近亡くなった自分の父親をモデルにしたキャラクターを作ったのですが、私の知らぬ間に同じ会社の別のチームがそのキャラクターを模倣し、少しだけ変更を加えて、彼らのプロジェクトとして使用した事がありました。その事実を知った時はとても残念に感じました。誰かの創作物の表面的な部分をコピーし、自分たちのオリジナルとして使用または販売するというのは、とても悲しいことです。創作物は、制作者の内面から湧き出るインスピレーションが元になり形づくられていくものです。そしてそれらが理念や価値、デザインになり、独自の製品やブランドと呼ばれるようになっていきます。模倣品についても同様のことが言えると思います。これまで多くの精巧に作られた模倣品を見たことがありますが、もしそれほど優れた模倣品を作る技術力があるのなら、その力を使って彼ら独自の製品やブランドを作るべきだと思います。そうすれば、もっと新しい物がうまれ、人々の選択肢も増える。そのほうがよっぽど楽しいですし格好いいと思いませんか。

将来の計画や目標は何ですか?

現在主要なマーケットとちょっと違うテーマや、ドキュメンタリー形式の漫画を描いてみたいと考えているのですが、現在こうした作品への需要は大きくありません。今後は、より幅広いメディアで自分の芸術家としての才能を発展させたいと思っています。また、私の個人的な興味と、経済的需要そしてプロとしてのキャリアとのバランスがとれる道を見つけたいと考えています。

 

 

日本事務所

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